岐阜県の最低賃金、時給1121円を答申
岐阜地方最低賃金審議会は5日、2026年度の県内最低賃金を時給1121円とする答申を行った。引き上げ幅は56円で、これにより3年連続で前年を上回る改善幅となる。答申は岐阜労働局に提出され、正式決定を経て通知される予定だ。
今回の答申に至る議論では、労働者側が物価上昇と隣県である愛知県との賃金格差是正を強く訴えたのに対し、使用者側は中小企業・小規模事業者の厳しい経営環境を理由に慎重な対応を求めた。審議の場では労使間で一致した合意に至らなかった。
「底上げを」
地域の影響と課題
今回の引き上げにより、低賃金で働くパートやアルバイト、短時間労働者の賃金改善が期待される。特に小売、飲食、宿泊業など人手を多く必要とする業種では、労働者の実収入向上が見込まれる一方で、人件費負担の増大が事業者の経営に与える影響も無視できない。
中小企業や個人事業主が多い岐阜県内では、以下の点が当面の焦点となる。
- 給与改定に伴う運営コストの上昇と価格転嫁の可否
- 人手不足対策としての労働生産性向上の必要性
- 社会保険料等の支出増が家計・事業双方に及ぼす波及効果
使用者側は、国際情勢の影響による原材料価格の上昇なども懸念材料として挙げた。記事の取材で示された意見では、中東情勢の変動が輸送コストや原料費に反映されることにより、既に厳しい中小企業の収益をさらに圧迫する可能性が指摘されている。
県内の事業者・労働者にとっての実務的ポイント
答申が正式決定された場合、事業者は最低賃金改定に合わせた労務管理の見直しが必要となる。具体的には、賃金規定の改定、給与計算システムの更新、就業規則の確認・周知が挙げられる。また、労働時間や待遇見直しを行う際の労使協議も重要だ。
労働者側は、最低賃金の引き上げにより時間給ベースの収入が上がる見込みだが、シフトの変化や雇用形態の見直しが行われる可能性もあるため、雇用条件の確認を怠らないことが望ましい。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 答申額(時給) | 1121円 |
| 引き上げ幅 | 56円 |
今後の見通しと行政の役割
答申は労働局が最終決定を行い、周知期間を経て各事業者に適用される。県や市町村は中小事業者への支援策として、賃金引上げに伴う経営支援や生産性向上のための補助・相談窓口の周知を強める必要がある。また、雇用の安定化と地域経済の循環を図るため、業界別の支援や人材育成の取り組みも重要となる。
労働局や商工団体、雇用支援機関が連携し、事業者向けの相談会や助成金情報の提供、加工・効率化投資に対する支援制度の案内を積極的に行うことが求められる。労働者に対しては、最低賃金改定後の給与明細の確認のほか、雇用条件が変更された場合の対応窓口情報の周知が重要だ。
岐阜県内では業種構成や企業規模の偏りがあることから、地域特性に応じたきめ細かな支援策が政策課題となる。最低賃金改定は生活者の実収入向上につながる一方、事業者への影響を和らげる施策とセットで実行されるかが、地域経済の安定にとって鍵となる。