社会 輪島市 石川県

震災から1年半、輪島港でノドグロ漁が一部復活

能登半島地震で被災した輪島港で、ノドグロの刺し網漁が部分的に再開された。海底隆起や荷揚げ困難といった課題に対し、浮桟橋設置やクレーン作業で対応し、地域の結びつきと漁業再建の取り組みが進んでいる。

震災から1年半、輪島港でノドグロ漁が一部復活
©イラスト AI生成 :木村 淳/プレスリリースジェーピー

震災で受けた傷跡と復旧の現場

石川県輪島市の輪島港で、震災から約1年半を経て、地元の漁師たちがノドグロ(アカムツ)の刺し網漁を部分的に再開しています。番組取材によれば、地震により一部の海底が約1.5メートル隆起し、港の荷揚げ場の使い勝手が大きく損なわれたため、漁業再開には港湾側の物理的な工夫が必要となりました。

現場では、荷揚げのための浮桟橋の設置や、重機(クレーン)を使った作業、さらには漁師仲間や地域の海女、OBらが総出で荷揚げ作業を支える取り組みが行われています。これらの工夫により、岸での受け入れ態勢が整いつつあり、取れたノドグロを地元で消費・流通させる動きが始まりました。

「震災時にお世話になった方々へ恩返しする漁師に密着。」

住民の暮らしと漁師の役割

取材された漁師の多くは、自宅が倒壊して仮設住宅での暮らしを余儀なくされています。それでも漁へ出ることで収入の糸口をつかむだけでなく、震災時に助けてもらった地域や他県の人々への感謝を示す意味で、魚を送るなどの活動を続けています。番組では、まずお礼の第1弾として富山県へノドグロを送る場面が紹介されました。

このような行動は、被災地と周辺地域との人的つながりを維持・再構築するうえでも重要です。漁業の再開は単なる生業の回復を超え、被災者が地域社会に復帰する一助になっています。

漁の技術・流通面の対応

取材内容から分かる主な対応は次の通りです。

  • 浮桟橋の設置:荷揚げ場の代替手段として設けられ、魚の陸揚げを可能にした。
  • クレーン等重機の活用:隆起によって通常の船揚げが困難な場所での荷役を支援。
  • 人手の結集:地元漁師、海女、OBらが協力して港作業を担った。

これらの対応は一時的な措置に見えるものの、現状では実効的な復旧策として機能しています。今後の永続的な復旧には、港湾工事や恒久的な施設復旧が求められる一方、短期的にはこうした工夫が漁業の再開を支えています。

食文化・観光への影響

ノドグロは高級魚として知られ、能登や輪島の食文化・観光の目玉でもあります。取れたてのノドグロを使った刺身や煮付け、漁師丼は地元の飲食店や朝市の魅力に直結します。輪島の朝市で商売をしていた人が再登場するなど、漁業再開は地域の商い再生にも寄与しています。

観光客にとっても、地震後の被災地が復興の過程にあることを知ることは重要です。観光需要の早期回復は地元経済にとって大きな後押しとなるため、港での漁が継続され、流通が安定することは観光面でのプラス材料になります。

今後の課題と支援の方向性

現場にはいくつかの課題が残ります。まず港湾インフラの恒久復旧です。海底や岸壁の地形変化に対応した恒久的な整備が必要で、国や県、市の支援、あるいは漁港整備の予算確保が不可欠です。次に、流通の安定化と販路確保。取れた魚を確実に売るための販路、冷蔵・加工設備の整備、販売支援が求められます。

また、被災漁師の生活再建支援も継続課題です。仮設住宅生活が続く中で漁労再開に伴う収入の不安定さや漁場の安全確保への対応が必要です。公的支援による生活再建、医療・福祉の継続的支援も欠かせません。

項目 現在の対応 今後の要点
荷揚げ 浮桟橋・クレーンで代替 恒久的な岸壁・港湾復旧
漁法 刺し網漁の部分再開 漁場の安全確認と拡大努力
地域支援 地元の人手や近隣県への魚の供給 販路整備と加工・保冷設備の導入

輪島の漁師たちが示しているのは、被災後の現場で即効性のある工夫を積み重ねることで、生活の糸口と地域のつながりを取り戻しているということです。港の恒久復旧には時間と資金を要しますが、当面の実務的な対応が漁業活動を支え、地域の回復力につながっています。

今後は、自治体や関係機関が港湾・流通両面での支援策をどのように組み立てるかが焦点となります。地域経済と文化の要である魚食文化を守りつつ、被災者の生活再建を支えるため、長期的視点での支援計画が求められます。

取材・文 木村 淳(プレスリリースジェーピー 石川県担当記者)

木村 淳
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