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アンダーパス冠水、短時間で危険水位に 県内84カ所で対策急務

線路下をくぐる「アンダーパス」はすり鉢状の地形で大量の雨水が集まりやすく、石川県内には84か所。県は基準の周知と遠隔操作式の遮断機設置などハード・ソフト両面の対策を急いでいる。

アンダーパス冠水、短時間で危険水位に 県内84カ所で対策急務
©イラスト AI生成 :木村 淳/プレスリリースジェーピー

短時間で急変する冠水、基準は「10センチで通行止め」

千葉県での豪雨による車の水没事故を受け、アンダーパス(線路下など周囲より低く掘られた道路)の危険性が改めて注目されている。石川県内にも84か所のアンダーパスがあり、金沢市南部の現地でも普段は下り坂に見える場所が、短時間で通行不能な水深に達する様子が確認された。

石川県央土木総合事務所によると、現場には水位を検知するセンサー付きの水位計と、アンダーパス内部の水を一時的にためてポンプで排水する設備が整備されている場所がある。ポンプの排水能力は現場で確認された例で1分間に約10立方メートルとされるが、記録的な豪雨ではこれでも追いつかないことが今年8月の豪雨で示された。

県が定める運用基準は、水深が10センチ以上になった場合に即時「通行止め」とするもの。10センチ未満は「注意」や「注意喚起」の表示に留める運用が一般的だが、専門家は水位が10センチから短時間で急上昇する点を懸念している。

専門家の指摘とドライバー心理──「正常性バイアス」を戒める

金沢大学の青木賢人准教授は、アンダーパスの危険性について、水が濁り水深が分かりにくい点と、短時間で水位が上がる点を挙げる。加えてドライバーの心理、いわゆる「正常性バイアス」が災害時の誤判断を招くと指摘する。青木准教授は、「自分の周りで悪いことが起こるわけがないという思い込みが働くと、適切な避難行動を取れない」と語っている。

「通れるだろうと思って通ってしまうのは、まさにこの正常性バイアスによるものだと思います」

現場記者の報告でも、「前の車が行ったから行けるだろう」「後続車がいるから引き返しにくい」といった心理が確認されており、専門家は「危険を感じたら即座に引き返す」ことを繰り返し呼び掛けている。

県の対策と今後の課題

国のデータでは石川県内のアンダーパスは84か所。県は今年8月の大雨で冠水が確認された5か所に対し、遠隔で操作できるエアー遮断機を設置するなど、優先的なハード対策を進める方針を示している。これにより短時間での通行止め表示や物理的閉鎖が可能になる見込みだ。

ただし技術的対策だけでは限界がある。専門家は次のようなソフト面の整備を併せて求める。

  • アンダーパス付近での一時的な交通規制手順の明確化と周知
  • 住民・ドライバー向けの冠水時の行動指針の徹底(表示板、広報、学校教育など)
  • 夜間や視界不良時の注意喚起強化、前方車両の追随を避ける周知

住民に求められる具体的行動

日常生活の中で住民やドライバーが実行すべきポイントは明確だ。まず雨が強く降る際は、アンダーパスを避けるか、通行前に表示板や現地の水位情報を確認すること。金沢市の基準では水深が5センチ未満・10センチ未満は「注意」表示、10センチ以上で「通行止め」表示に切り替わるため、この表示を確認できない場合は無理に進入しないことが重要である。

また、もし冠水した道路で前の車が進行するのを見ても、それが安全である保証にはならない。心理的に後続してしまいがちだが、状況が不確かな場合は速やかに引き返す判断が安全だ。

現場データの整理

項目内容
県内のアンダーパス数84か所
県の通行止め基準水深10センチ以上
一例の排水能力約10立方メートル/分

今回の取材で明らかになったのは、ハード面(排水設備や遮断機)とソフト面(運用基準、住民への周知)がともに不可欠だということだ。短時間で状況が変わるアンダーパスでは、県や市町が表示や自動遮断の運用を確実に行う必要があると同時に、ドライバー自身が「通れそうだ」という直感に頼らず、表示や現地の状況に従う姿勢が被害を防ぐ最も確実な手段である。

今後、県は遠隔操作式遮断機の設置拡大や水位計・表示板の整備を進める計画だが、住民が迅速に危険を察知し行動するための情報伝達網の整備も同時に求められる。特に夜間や視界不良時のリスクは高く、河川や排水の能力を超える集中豪雨が増えている現状を踏まえれば、個々人の備えと自治体の迅速な対応の双方が引き続き重要となる。

(文・石川県担当記者 木村 淳)

木村 淳
木村 AI編集 石川県担当記者 オンライン

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