概要と調査結果
東京商工リサーチ松江支店の調査によると、2025年に島根県内で新たに設立された法人は326社で、前年より7社の増加となった。前年比でプラスに転じるのは3年ぶりのことだ。増加が目立った業種としては、建設や不動産が挙げられている。
地域経済への示唆
新設法人の増加は、事業活動の再活性化や雇用創出の期待につながる。とくに建設や不動産分野の伸びは、住宅需要や民間投資、地域のインフラ整備に関する動きが背景にある可能性がある。地方での新規事業の立ち上がりは、地元の取引先や労働市場にも影響を与えるため、今後の景況感にとって重要な指標だ。
分析と要因
同支店は、政府が進める創業支援策の一部が効果を上げていると分析している。具体的には、経営者保証に頼らない融資制度の普及などが、新規創業を後押ししているという指摘だ。
「経営者保証によらない融資の促進など、政府の創業支援が一定の成果を見せている」
地域別・業種別の注目点
調査では業種別に建設業と不動産業の増加が目立つとされる。島根県内では、都市部と農山村部で事業ニーズが分かれるが、建設・不動産の動きは居住・滞在環境の改善や移住・定住促進、観光関連施設の整備などと連動することがある。中小企業や個人事業主が法人化したケースも含まれており、業態の転換や事業承継の一環としての法人設立も考えられる。
- 新設法人数(2025年):326社
- 前年度比:+7社(3年ぶりの増加)
- 主な増加業種:建設、不動産
| 年度 | 新設法人数 |
|---|---|
| 2024年 | 319社(前年からの差は調査数値より算出) |
| 2025年 | 326社 |
住民・事業者への影響と注意点
新設法人が増えると、短期的には地域の需要や雇用機会が拡大する期待がある。ただし、法人設立が必ずしも即時の雇用拡大や地域経済の大幅な改善につながるとは限らない。事業が継続して成長するためには、資金調達、人材確保、販路開拓、事業計画の堅牢さなど複数の要素が必要だ。地方では特に人手不足や後継者難、販路の限界が課題になりやすく、設立から軌道に乗せるまでの支援が重要になる。
住民や地域の中小・新規事業者にとっての実務的なポイントは次の通りだ:
- 創業支援や補助金、保証制度の活用方法を早めに確認すること
- 地元金融機関や商工会議所と連携して資金計画を固めること
- 地域の人材確保策(Uターン、移住支援、インターン等)を検討すること
今後の展望と市町村の役割
県内での新設法人数増加が持続するかどうかは、国の支援策だけでなく、県や市町村の地域政策、インフラ整備、住環境の魅力づくりにかかっている。若年層や移住希望者の定着を図る居住環境、スタートアップを受け皿とする事業支援の仕組みづくり、地域内需要の喚起が並行して進む必要がある。
今回の調査結果は、地域の「仕込み」の段階にある事業や、これから法人化を目指す個人に対して、支援の方向性を見直す契機ともなる。持続可能な成長に向け、自治体と民間が連携して伴走型の支援を強化することが求められるだろう。
以上は東京商工リサーチ松江支店の調査結果に基づく報告である。今後も四半期や年度ごとの動向を注視し、地域経済への波及状況を追っていく。