猛暑に強さ期待、新品種の初期収穫が始まる
島根県で36年ぶりに開発された新品種米「つぶきらり」の稲刈りが、雲南市内の試験圃場で始まった。県の試験栽培は、猛暑で品質低下が進む中での実用性を確認することが目的で、今年の高温環境下でも一定の成果が報告されている。
圃場では、従来の主力品種であるコシヒカリと並べて生育比較が行われ、現場関係者は「穂の高さが低いため倒伏しにくく、作りやすい」と実感を述べている。生産者側は粒の大きさや収量の改善に期待を寄せており、収穫後の県による品質や収量調査を経て、今後の栽培拡大が検討される。
「まず、高温に強い。去年、おととしと試験をしているが、暑かった夏の中でも、いい品質が穫れている。収量もよく穫れる」 — 島根県農山漁村振興課 清水学 係長(当時)
現場での手応えとしては、粒の大きさや白未熟とされる高温障害が比較的少ないことが挙げられる。検査では、コシヒカリなどの一等米比率が落ち込む傾向にある中でも、つぶきらりは暑さの影響を受けにくい可能性が示唆されている。
生産者の声と現況
試験栽培を行った雲南市内の16アールの水田では、収穫後の初見で粒が大きく、コシヒカリに比べて収量が増える見込みが示されている。生産者側からは実際の扱いやすさも好評だ。
「(つぶきらりは)特に作りにくさなどはなかった。コシヒカリに比べて穂の高さが低いので倒伏しにくくて作りやすいコメと思っている」 — なべやまらいす 石原公夫 代表取締役
関係者の見立てでは、収量は従来品種よりおおむね20%程度の増加が見込まれており、品質面でも高温による白未熟の影響が小さいとの感触が伝えられている。ただし、県全体の判断には複数年・複数圃場でのデータ蓄積が必要だ。
今後の計画と消費への影響
県は今回の調査結果を踏まえ、再来年に向けて150ヘクタール規模での本格的な栽培を目指す計画を示している。生産面での拡大が進めば、猛暑対策としての地域内のコメ供給安定や農家所得の底上げにつながる可能性がある。
- 短期的:今年度は試験栽培の評価と品質検査を実施
- 中期的:来年度以降の本格栽培に向けた生産体制の整備
- 長期的:消費者の支持を得て市場価値を確立することが課題
一方で、全国的なコメ余りや価格変動の課題も残る。生産者は新品種の導入が直ちに高収益を保証するものではないと認識している。販売面では消費者の認知度向上やブランド化が重要で、品質が安定すれば価格面での下支えも期待できる。
住民・消費者への実用情報
試験圃場の結果を見る限り、「つぶきらり」は
| 特性 | 現時点の見通し |
|---|---|
| 耐暑性 | 高温下でも品質保持の傾向 |
| 収量 | 従来品種より約20%増の見込み |
| 営農上の扱いやすさ | 穂丈が低く倒伏しにくい |
今後の購入・利用にあたっては、流通段階での取り扱いや精米後の食味評価が重要となる。消費者が試せる機会は、県や生産者がサンプル供給や地域イベントでの試食を通じて増やす方針だ。
まとめ
猛暑が常態化する環境下で、県が開発した新品種「つぶきらり」は実用化に向けた有望な候補となり得る。雲南市での試験栽培は収量と扱いやすさの面で好感触が報告され、県は段階的な拡大を見据えている。ただし、全国的な価格動向や消費者受容性を踏まえた販売戦略が必要であり、複数年の検証と現場の意見集約が今後の鍵になる。
(村上 彩/プレスリリースジェーピー 島根県担当)