需要拡大と現場の課題
ベトナムで環境に配慮した製品の需要は、農業環境省の報告をもとに年間平均15%の伸びを示している。流通面では、大規模な販売促進期間において「グリーン」表示のある商品の売上が40〜60%増加するなど、消費者の反応は確かなものだ。一方で、普及の足かせになっているのは、従来製品と比べて価格が高くなる点と、消費者が製品の環境性を確認するための情報・信頼性が十分に整備されていない点である。
都市部の取り組みとサプライチェーンの効率化
ホーチミン市は、流通と配送を普及促進の中核課題に位置づけ、流通業者や製造者、協同組合の直接的な連携を強化することで中間コストの削減を図っている。市貿易管理部の副部長、ディン・チョン・クオン氏は、政策の優先事項を明確にし、市場の連携と供給・需要の同時発展を掲げている。
「ホーチミン市は、市場の連携強化を最優先事項として、供給と需要の両方を同時に発展させることに尽力しています。環境に配慮した製品が競争力のある価格で販売できるよう支援することで、人々の購買行動の変化を促し、徐々に環境に優しい消費を地域社会の一般的な習慣にしていくことができるでしょう」
小売・企業の現場で進む実務対応
複数のチェーンが包装材やレジ袋の見直し、再利用可能バッグの提供、ポイント制度や電子レシート導入などの施策を進めている。具体例として、ある大手スーパーマーケットでは店舗で用いるレジ袋を100%生分解性プラスチック袋に切り替えるなど、運用面での工夫が報告されている。こうした取り組みは消費者への選択肢を増やすと同時に、使い捨てプラスチックの削減につながる。
- 消費行動の変化: Intage Vietnamの調査で、都市部消費者の95%が環境配慮行動をとると回答
- オーガニック優先: 同調査で73%がオーガニック食品を優先
- プラスチック削減: 同じく44%が買い物時にプラスチック袋の使用を減らしている
生産側の変革と表示の信頼性
政策的には、農業・林業・水産業の成長モデルを近代的かつ持続可能な方向へ転換することが掲げられ、長期的な経済目標として産業全体での付加価値向上が目標に含まれている。レポートは、こうした生産段階からの取り組みが根本解決に不可欠であると指摘する一方で、企業の「環境配慮」アピールが単なるブランド戦略にとどまらないよう、表示や根拠の透明化が求められていることを強調している。
消費者保護団体の関係者は、グリーン表示の真偽を見極める知識が十分でない消費者は、価格プレミアムを支払ったにもかかわらず品質に大差がないケースや、根拠のない「天然」「リサイクル可能」といった表現に惑わされるリスクを抱えると指摘している。表示の信頼性と販売時点での情報伝達は、消費者の選択を支える重要な要素だ。
データで見る現状
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 環境配慮型製品の需要増 | 年間平均15% |
| 販促期間中の売上増加 | 40〜60% |
| 都市部消費者の環境行動 | 95%が何らかの配慮行動 |
また、政府は農林水産業の成長率目標を3.7%に設定し、輸出総額を730~740億米ドルに引き上げる方針を示している。環境に優しい成長軌道への移行は、国家の経済戦略とも整合する形で進められている。
示唆と今後の焦点
ベトナムの事例は、消費者意識の高まりと企業・行政の実務的対応が表裏一体であることを示す。普及には価格競争力の改善、流通コストの最適化、表示と情報提供の強化が不可欠だ。短期的には流通面での工夫や小売のプロモーションが効果を生みやすく、中長期的には生産プロセスの脱炭素化や循環経済導入が求められる。
日本を含む諸国の政策関係者や小売事業者にとって、ベトナムでの取り組みは実務的示唆を含んでいる。特にサプライチェーンの簡素化や販売時点での情報透明化は、消費者の信頼を高めるための共通課題だ。今後は、表示の第三者認証や価格支援策など、実効性のある仕組み作りが注目される。
(提供元: Báo Thanh tra ほか)