話題性と実際の使用感のギャップが浮き彫りに
化粧品メーカーの調査が示したのは、見た目の魅力や情報の拡散が購買を強く後押ししている一方で、実際の満足度や安全性に関する問題が少なくないという現実だ。株式会社マナビス化粧品が公表した調査では、調査対象の多くがSNSや雑誌で話題になった商品を購入すると答えており、その割合は8割超に上る。にもかかわらず、購入者の約6割が「肌に合わなかった」と回答している。
調査は2026年6月18〜19日にインターネットで実施され、対象は美容・スキンケアに関心がある20〜40代の女性、回答数は1014人。質問項目は「関心のある成分」「肌の改善実感」「自身の肌タイプの把握」など多岐にわたる。
関心の高い成分と消費者ニーズ
注目を集めた成分は上位からビタミンC、ヒアルロン酸、レチノールで、それぞれ多くの消費者が関心を示している。これらから、美白・保湿・エイジングケアといった目的が依然として高い優先度を占めることが読み取れる。
| 成分 | 関心割合 |
|---|---|
| ビタミンC | 50.7% |
| ヒアルロン酸 | 49.5% |
| レチノール | 44.3% |
肌トラブルと自己理解の乖離
興味深いのは、スキンケアに熱心な層でも肌の悩みが続くと感じる人が多い点だ。「良いケアをしているはずだが改善が見られない」と答えた人は約8割にのぼり、その理由を「自分で理解している」と答えた割合は約半数にとどまった。プロによる診断を受けている人は少数にとどまり、多くが自己判断に頼っているのが現状だ。
- 話題成分への関心は高いが、必ずしも自分の肌に合うとは限らない
- 肌トラブル(刺激・赤み・かゆみなど)を経験する人が少なくない
- 消費者はまず自身の肌状態の理解を深めたいと考えている
実際、話題の商品を購入して「刺激や痛み」、「赤み・かゆみ」といった直接的なトラブルを経験した人が上位を占めるほか、使用感が期待と異なると感じた人も多い。企業側の準備不足や説明不足、消費者側の自己判定の限界が重なり、不一致を生んでいると見られる。
「『ビタミンC』『ヒアルロン酸』『レチノール』といった話題の成分に多くの方が関心を寄せ、8割以上がSNSや雑誌で話題になった商品を実際に購入しています。しかしその一方で、購入者の約6割が『肌に合わなかった』と回答しており、『刺激・痛み』『赤み・かゆみ』などの直接的な肌トラブルに見舞われている実態が浮き彫りになりました。(中略)このような期待と結果のギャップが生じる背景には、『自身の正確な肌タイプの把握不足』が影響していると考えられます
EC事業者とブランドに求められる対応
調査結果が示すのは、単に話題を作るマーケティングだけで勝負できる時代は終わりつつあるという点だ。消費者は単なるトレンドよりも、自分に合った正しい知識と手順を重視する傾向を強めており、メーカーやEC事業者はこれに応える必要がある。
具体的には、成分の効果やリスクをわかりやすく伝える情報提供、肌タイプ別の推奨方法、プロによる診断サービスの導入や返品・相談の仕組みの強化などが挙げられる。透明性のあるコミュニケーションとパーソナライズされた顧客体験は、長期的な信頼を築くための投資だ。
最後に消費者側の教訓も明瞭だ。流行に乗る前に自分の肌状態を確認し、期待とリスクを天秤にかける。情報は強力だが、使い方を誤れば裏目にも出る。トレンドと自分の肌が手を取り合う、その橋渡しをするのは企業と消費者の双方だろう。
(佐野 悠斗)