富山県は、寿司を入り口に県内の食文化や職人の技、地域産業を紹介する取り組みを進めている。2026年11月は、県内各地でます寿しや創作料理、寿司職人による体験企画などを集中的に展開する期間と位置づけ、県民や観光客が富山の味を多角的に楽しめる機会を設ける。魚介を味わうだけでなく、器や米、調理技術、飲食店の新たな表現にも触れられる内容となっている。
富山市役所でます寿しを食べ比べ
富山市役所1階のレストランでは、富山ます寿し協同組合に加盟する12ブランドの中から、開催回ごとに3ブランドを選び、少量ずつ比較できる定食を提供する。各店の商品は8分の1切れずつ盛り付けられ、副菜と汁物も組み合わせる。店ごとに異なる酢の使い方、甘さ、押し加減などを一度に確かめられるため、これまで特定の店の商品しか食べたことがない人にも、ます寿しの幅を知る機会になる。
提供日は2026年12月4日と2027年3月5日の予定で、いずれも日付が変更される場合がある。参加ブランドは、青山総本舗、今井商店、元祖せきの屋、吉田屋鱒寿し本舗、元祖関野屋、源、高田屋、千歳、川上鱒寿し店、なかの屋、味の笹義、高芳。回ごとの組み合わせや利用方法などは、公式サイト「すしのまちのとやま」で確認する必要がある。
| 企画 | 日時・期間 | 会場 |
|---|---|---|
| ます寿し食べ比べ定食 | 2026年12月4日、2027年3月5日予定 | 富山市役所1階レストラン |
| どじょう米使用ます寿しの販売 | 2026年11月22日 9時30分~15時 | 立山あるぺん村 |
| 寿司握り体験ツアー | 開催中、要予約 | 北陸すしアカデミー |
循環型農業の米を使った限定商品
11月22日には、立山町の立山あるぺん村で、富山県立中央農業高校の生徒が開発に関わった商品を販売する。同校は、どじょうの養殖に使った水を水田の肥料として活用し、浄化後の水を養殖池へ戻す仕組みを研究している。さらに、アイガモロボットを使って雑草を抑える無農薬の水稲栽培にも取り組む。こうした農法で育てたコシヒカリは「どじょう米」と呼ばれ、農業高校の米の全国大会で2024年に最高賞のグランプリを受けたほか、複数の教育・農業関連の評価を得ている。
当日は、どじょう米と寿し工房「大辻」が共同開発したます寿しを、生徒が実演販売する。販売品は「どじょう米使用ます寿し/幻のますの寿し」が3,200円、「幻のますの棒寿しハーフ」が700円で、いずれも税込み。魚の養殖と植物の栽培を組み合わせるアクアポニックスの考え方を、食べ物を通じて知る機会にもなる。会場は中新川郡立山町東中野新143-1で、販売時間は9時30分から15時まで。
寿司を題材に異業種の料理も登場
寿司店に限らず、県内のさまざまな飲食店が創作料理を提供する「とやまクラフト寿司」も広がっている。2025年11月に19店舗で始まり、イタリア料理、フランス料理、スペイン料理、中華・エスニック、菓子などの店が参加。握りを思わせる和菓子や、ますと紅ズワイガニを使った米粉のミルクレープ、富山県産えごまの稲荷巻き寿司など、店の専門性を生かした商品が並ぶ。
新たに約10店舗が加わる予定で、年内には参加店を25店舗以上に増やす計画という。氷見市の松木菓子舗では、寿司を模した菓子を予約制で提供する。滑川市のビストロ・セラヴィでは、ますと紅ズワイガニを使う米粉のミルクレープを用意。富山市の隠れやCafeふぅでは、富山えごまの稲荷巻き寿司を昼食の一品として提供する予定で、富山空港内のBASQUE BAR TOYAMAでも寿司をイメージしたピンチョスが企画されている。提供状況や予約の要否は、各店や特設サイトでの確認が必要だ。
職人から握り方を学ぶ体験
富山市中心部から近い漁港周辺にある北陸すしアカデミーでは、現役の寿司職人から握り方を教わるツアーが行われている。新鮮な寿司ネタを扱いながら実技を学び、食事も楽しめる内容で、富山市ガラス美術館の入館料や市内電車・バスの1日フリーきっぷ、その他の施設観覧料も体験料に含まれる。料金は大人1万円、子ども7,500円で、参加には予約が必要。会場は変更される場合があるため、申し込み前に富山市公式観光サイトや北陸すしアカデミーの案内を確認したい。
- ます寿しの食べ比べは富山市役所で実施予定。開催日とブランドの組み合わせは公式情報で確認する。
- どじょう米を使った限定商品は11月22日に立山あるぺん村で販売される。
- 創作料理や握り体験は、店舗・ツアーごとに予約や提供条件が異なる。
県の一連の企画は、ます寿しを単独の名物として紹介するだけでなく、米づくり、養殖、工芸、飲食店、観光を一つの食文化として伝える点に特徴がある。県内の住民にとっては身近な店や料理を再発見する機会となり、県外から訪れる人にとっては、食事と体験を組み合わせて富山を巡るきっかけになる。各催しは日程変更や予約制の商品が含まれるため、出かける際は「すしのまちのとやま」や各施設の最新案内を確認することが求められる。