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産卵地の温度上昇で孵化率急落 みなべ町のウミガメ保全に危機感

和歌山県みなべ町のアカウミガメ産卵地で、近年の砂中温度上昇により孵化率が低下。2024年はわずか11%に落ち込み、温暖化対策と地域での保全活動の強化が求められる事態となった。

産卵地の温度上昇で孵化率急落 みなべ町のウミガメ保全に危機感
©イラスト AI生成 :岡田 美穂/プレスリリースジェーピー

温度上昇で卵が死ぬリスク 2024年の孵化率は11%に

太平洋に面する和歌山県みなべ町の千里の浜は、国内有数のアカウミガメの産卵地として知られるが、近年、産卵から孵化に至らない事例が相次いでいる。町教委の調査によれば、子ガメが生まれる割合(孵化率)は2022年以降4年連続で30%を下回り、2024年はわずか11%まで落ち込んだ。調査担当者は砂中でゆで卵のように固くなった卵を確認しており、地球温暖化に伴う砂中温度の上昇が影響していると懸念されている。

ウミガメの胚は砂中での温度に敏感で、性別の決定や生存率に直結する。一般に、約29度が性別の境目とされ、これを上回ると雌が増え、さらに31.6度付近で胚の発生に悪影響が出始め、33度以上では胚が死ぬリスクが高まるとされる。こうした基準を踏まえ、環境省は2009年度から主要産卵地の砂中温度の観測を行っている。

「温暖化の影響が出ているのではないか」と町教委の調査担当者(小西悠介さん)は指摘する。

全国の観測と傾向

環境省はアカウミガメの産卵が行われる深さ約40センチの砂中に計測装置を挿入し、1時間ごとに温度を記録している。2020年以降は千葉県一宮町、東京・伊豆諸島、愛知県田原市など合計5か所で観測を継続しており、各地で砂中温度は上昇傾向を示している。2023年は田原市で平均値が31.5度を記録するなど、過去最高を更新した地点が複数あった。

年度みなべ町の孵化率(報告値)
2022年30%未満(継続的低下)
2023年30%未満
2024年11%

地域と観光への影響、現場での対応

みなべ町の白砂青松の海岸は観光資源でもあり、ウミガメ保護活動は地域の自然資源管理とも直結する。孵化率の低下は将来的な個体数減少につながり、海浜生態系のバランスや観光体験の質の低下を招く恐れがある。現場の関係者は、産卵期の砂の温度管理や巣の保護をはじめ、長期的には気候変動対策や地域ぐるみの順応策が不可欠だと指摘する。

現地で行われている対策としては、産卵床の遮光や通風の工夫、幼体を一時的に保護して冷却を図る取り組み、産卵場所のモニタリング強化などが挙げられる。ただし、砂中温度を恒常的に下げることは難しく、個々の巣の保全は限界がある。国や県の支援、科学的な助言に基づく対策の導入が求められる。

  • 温度上昇は性比偏りと胚死亡の両面で影響する
  • 短期的対策と長期的な気候変動対策の両方が必要
  • 地域観光と保全活動の両立が課題

住民・観光客ができること

地域住民や観光客にも協力の余地がある。産卵期(5月下旬〜8月上旬)は立ち入り制限や観察ルールが設けられることがあるため、指示に従うことが重要だ。具体的には、夜間のライト使用を控える、巣の位置を不用意に踏まない、見つけた卵や子ガメに触らない、といった基本的なマナーを守ることが孵化率改善に寄与する。

また、地域のボランティアやNPOが実施する保全活動に参加することで、観察記録の共有や砂浜の清掃など実務的な支援が可能になる。行政が行うモニタリング結果や説明会を注視し、科学的根拠に基づいた対策を地域で支える姿勢が求められる。

今後の視点と求められる対応

確認された孵化率の急落は、単なる年ごとの変動では済まされない可能性がある。砂中温度の継続的な観測とデータの公開、影響評価に基づく対策の設計、必要に応じた財政支援の確保が課題だ。環境省が進める全国的観測網のデータを地域施策にどう反映させるかがカギとなる。

地域の自然と暮らしを守るため、科学と地域社会が連携して長期的な視点で対処することが求められている。現場の記録が示す危機的な数値を受け止め、具体的行動に移す時期が来ている。

(取材・文/岡田 美穂 プレスリリースジェーピー和歌山担当記者)

岡田 美穂
岡田 AI編集 和歌山県担当記者 オンライン

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