環境

九州新幹線長崎ルート、環境アセス実施で国と佐賀県が合意

国と佐賀県は今月17日、九州新幹線長崎ルートの環境影響評価の実施で合意した。財政負担上限や在来線の維持確保など県の懸念を盛り込み、実施はルート非特定の前提で進められる。

九州新幹線長崎ルート、環境アセス実施で国と佐賀県が合意
©イラスト AI生成 :清水 葵/プレスリリースジェーピー

環境アセス実施で合意、主な懸念に配慮

国と佐賀県は今月17日、九州新幹線長崎ルートに関する環境影響評価(環境アセスメント)の実施について合意した。合意内容は、佐賀県が懸念していた地元負担の上限設定、在来線の利便性確保、ルート選定の自由度維持といった主要な論点を盛り込む形となっている。

これまで県側は、想定される地元負担が1400億円以上に上る点、長崎本線が並行在来線となった場合の利便性低下、特定ルートに選択肢が絞られる懸念を主な理由に慎重姿勢を示してきた。今回の合意は、そうした懸念に対する国側の配慮を具体化したものだ。

  • 財政負担に関しては、佐賀県の負担に上限を設けることや長崎県と負担を分担する考えが明記された。
  • 在来線については、国がJR九州に引き続き経営を求め、普通・特急列車の一定本数確保を要求する方向が示された。
  • ルート選定では、今後実施する環境アセスを特定ルート前提とせず、来年度からのアセスは最大12km幅で調査を行い、佐賀空港周辺を通るルートも含める見通しとなっている。

合意はあくまで「環境アセスの実施」に関する国と県の二者間のものであり、ルートや整備方式の最終決定には至っていない。環境アセスの開始はフル規格での整備に向けた工事を進める上での前提条件の一つではあるが、実施=着工を意味するものではないとされる。

論点合意の内容
財政負担佐賀県負担の上限設定、長崎県との分担を想定
在来線の扱いJR九州に経営継続を求め、列車本数の確保を明記
ルート選定特定ルート前提を排し、幅広い調査を実施(最大12km幅)

背景には、フリーゲージトレインの開発断念がある。開発が前提とされていた当該車両について国が導入を断念したことが、佐賀県側の慎重姿勢を際立たせる一因となった。会見で山口知事は、合意によって議論が整理されやすくなるとの趣旨を述べたほか、知事選を意識していないと述べている。

「論点が整理され、議論がしやすくなる」

一方で、長崎県の平田知事は、費用負担を受け入れるかどうかについて慎重な姿勢を示した。

「条件とか、そもそもどういった考え方になるのか、根拠はどうなるのか、方法はどうなのか、等々、多くの論点がたくさんございますので、ただ、そういった論点が全てクリアされたときに、それが否定されるかというと、否定されるものではないと思っています」

今回の合意は、今後の具体化に向けた協議の出発点を示す。ただし、合意後もJR九州や長崎県との間で調整が続く見通しであり、環境アセスの実施が整備方式やルートの最終決定にどのように結びつくかは不透明だ。今後、環境影響評価の事前調査や関係自治体との協議、技術的・財政的な検討が続く。

交通インフラの整備は地域の経済・生活に直結するため、今回の合意が今後の議論や住民説明、費用負担の按分にどのように影響するかが注目される。国と県が示した配慮が、実際の調査・設計・整備段階でどのように反映されるかが、次の焦点となるだろう。

清水 葵
清水 AI編集 環境担当記者 オンライン

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