テクノロジー

ベトナムViettel会長、国家主導の技術成長策提言

ベトナムのViettel会長が、主要国有企業のリスト化と戦略任務の付与、国内テック企業チームの編成、物流網の統合、公共調達や研究成果の商業化に関する制度改善などを政府に提案した。

ベトナムViettel会長、国家主導の技術成長策提言
©イラスト AI生成 :編集部/プレスリリースジェーピー

ベトナムの大手通信・テクノロジー企業Viettelのタオ・ドゥック・タン会長は7月18日、政府常務委員会と経済界の会合で、経済の主要分野で主導的役割を担う国有企業を明確に位置づけ、各社に戦略的任務を与える仕組みの整備を政府に求めた。併せて、国内の有力テック企業を束ねて「戦略技術」や「国家戦略製品」の開発を担うチームを編成し、公共調達、技術試験、データアクセスなどの制度面を包括的に見直すべきだと訴えた。

「リーディングカンパニー」への明確な任務付与

会合のテーマは「ボトルネックの解消-資源の解放-成長の促進」。タン氏は、政府が経済の主要部門で主導的な役割を担う大規模国有企業のリストを速やかに公表し、各社の強みに合わせて任務を割り当てる必要性を強調した。具体名としてはViettelのほか、VNPT、MobiFone、FPT、CMCなどを念頭に、共同で中核技術と国家的製品の開発に取り組む枠組み整備を提案している。

「政府がこの見解を速やかに具体化し、Viettel、VNPT、MobiFone、FPT、CMCなど、国内有数のテクノロジー企業からなるチームを編成し、戦略技術や国家戦略製品の開発に参加するための任務、仕組み、条件を整備することを提案します」

同氏は、先導企業は単に売上や利益を追求するだけではなく、技術革新、国内サプライチェーンの構築、国際市場の拡大、戦略技術の習得、国家的重要プロジェクトへの参画といった広範な課題を担うべきだと指摘した。

公共調達の見直しと波及効果の測定

政策面では、国有企業を「主要な購買者」「主要な発注者」として位置づけ直し、品質要件を満たす国内製品・サービスの優先利用を促す具体的ガイドラインの策定を要請。さらに、先駆的企業が経済にもたらす波及効果を測定するための指標を制度に組み込むよう提案した。

提案された波及指標趣旨
現地化率国内部材・工程の取り込み度合いを可視化
国内調達額国内企業への発注規模を定量化
サプライチェーン参加中小企業数中小企業の巻き込みと裾野産業の拡大
支援を受けるテクノロジー企業数新規・既存テック企業の製品開発支援の広がり

これらの指標は、単一企業の収益性にとどまらず、エコシステム全体を押し上げる力学を政策評価の対象にする狙いがある。

制度ボトルネックの解消と企業主導のイノベーション

タン氏は、科学・技術・イノベーションの領域において、企業を製品開発プロセスの中心に据える原則を提示。その実現に向け、以下の制度課題の解消を求めた。

  • 金融メカニズムと投資に関する規制の見直し
  • 公共調達の運用改善と質の確保
  • 技術試験の環境整備(テストや検証の円滑化)
  • データアクセスの適正化と可用性向上
  • 研究成果の商業化を促すルールの整備

同氏は、これらの改善が企業の長期投資を後押しし、イノベーション能力の底上げと、ひいては経済成長への貢献につながると述べた。

統合ロジスティクス計画でコストを低減

産業競争力の基盤となるインフラでは、国内のロジスティクスを対象に、輸送システム、港湾、空港、鉄道、物流センター、倉庫、国境検問所、主要積み替え拠点を相互連携させた統合計画の策定を要望。近代的で統一されたネットワークの整備により、物流コストの削減、国家競争力の強化、さらには電子商取引や輸出の拡大、経済成長の促進が期待できるとした。

海外展開を支える投資促進基金の設置

海外市場の開拓支援として、企業、特に国有企業が税引前利益から投資促進基金を設けられる制度の検討も提案した。新規市場の選定には現地調査や当局・パートナーとの長期的な協力が不可欠で費用も大きく、成功が保証されないという現実を踏まえ、企業が持続的に外部市場へ挑戦できる資金的土台の整備を求めた。

背景と今後の焦点

タン氏は、開発の考え方が、個別企業の課題解決から、国有企業・民間企業・外国直接投資企業の連携による統一的な成長エコシステムの構築へと移っているとの認識を示した。提案群は、先導企業の役割を明確化し、制度改革とインフラ整備を同時並行で進める包括的なものだ。今後は、政府が主要国有企業のリストをいかに迅速に示し、公共調達やデータアクセスなどの具体ガイドラインをどの水準で設計できるかが焦点となる。

ベトナムのテクノロジー産業は、国家の産業政策と企業の実行力が結び付くことで、国内の供給網強化と輸出市場の拡大に向けた新たな局面を迎える可能性がある。先導企業の波及効果を定量的に評価する枠組みを導入できれば、政策の実効性検証と資源配分の最適化にも資するだろう。提案がどこまで制度化され、どのスピードで実装されるかが、同国の技術力と国際競争力の行方を左右する。

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