概要
東レエンジニアリングは、営業・顧客・案件情報を一元管理するためにクラウド型の顧客管理プラットフォームを全社基盤として導入し、運用設計から定着化支援までを外部パートナーと共同で進めた。その結果、受注登録や製作指図発行といった業務の工数が大幅に低下し、営業の案件数が拡大するなど定量的な効果が確認された。
導入の経緯と課題認識
同社はプラントエンジニアリングや製造装置、ファクトリーオートメーション等を手掛ける事業体で、事業規模の拡大に伴って営業・顧客・案件に関する情報が部門ごとに分散していた。既存システムの運用開始から長期間が経過し、部署毎に利用するツールが多様化していることから、業務全体の最適化を阻む要因が顕在化していた。
支援体制と取り組み内容
プロジェクトでは、外部支援企業が立ち上げから導入後の定着まで一貫して支援した。まずは一事業部において営業プロセスの勝ち筋を可視化し、段階的に全社へ横展開する方針を採用。既存の基幹系システムと連携させることで、営業から受注後の工程までをデータで結び付ける設計が図られた。
- 基幹とフロントの役割分担を明確化し、データの一元化を実現
- SAP等の既存システムとの連携で工程間の情報流通を確保
- 現場と伴走する形での定着支援により運用の定着を促進
成果と数値的効果
導入の効果は複数の指標で確認されている。代表的な成果として、受注登録や製作指図の発行に係る業務工数が最大で85%削減されたこと、営業案件数が約1.5倍に増加したことが報告されている。これらは、現場での手戻りや重複作業の解消、情報探索時間の短縮といった業務改善の積み重ねによるものである。
| 指標 | 導入前 | 導入後(効果) |
|---|---|---|
| 受注関連の工数 | 既存運用 | 最大85%削減 |
| 営業案件数 | 基準水準 | 約1.5倍 |
現場の声と定着化の要因
全社的な業務変革を推進するにあたり、CCTさんはわが社のビジョンを深く理解し、あるべき姿を共に描いてくれるパートナーです。Salesforce導入をきっかけに、データに基づいて判断し戦略を描ける基盤が整ったと感じています。
プロジェクトや導入支援に関わった担当者は、技術的な実装だけでなく、業務現場に入り込んで課題を抽出し、運用に即した改善提案を行った点を成功要因として挙げる。要件の単純実装にとどまらず、社内プロセスに合わせた設計と段階的な展開が、利用者の理解と定着を後押しした。
今後の方向性と示唆
東レエンジニアリングは、今回の取り組みを足掛かりにSalesforceの活用領域を間接部門にも拡大し、組織全体の生産性向上とデータ駆動型の経営判断の強化を目指すとされている。外部支援企業も導入後の継続的な改善フェーズを含む伴走支援を継続すると表明しており、単発のシステム導入ではなく運用を通じた成熟度向上を重視する姿勢がうかがえる。
今回の事例は、製造業に限らず複数システムが混在する企業組織でのクラウド基盤導入に際して、段階的な導入と現場主導の定着支援が重要であることを示している。経営層・現場間で共通のデータ基盤を持つことが、迅速な意思決定と営業活動の再現性向上につながる点は、同業他社にとって参考となるだろう。
結び
企業がDXを進める際、技術選定だけでなく運用と定着の設計が成果を左右する。本件は、外部パートナーとの協働でそれを実現し、具体的な業務効率化と案件数拡大という成果につなげた点で注目に値する。今後の展開は、他部門への波及と、データを軸にした経営プロセスの高度化が焦点となる。