県職員の意識可視化で組織改革を促進
徳島県は、令和8年度の職員のエンゲージメント向上に関する調査・改善支援等業務を株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区)に委託した。委託業務では同社のクラウドサービス「モチベーションクラウド エンゲージメント」を活用し、職員の意欲や組織の状態を可視化したうえで、分析結果に基づくフォローアップ施策を進めるという。
背景には、人口減少・少子高齢化が進行するなかで防災やDX(デジタルトランスフォーメーション)、子育て支援、医療・福祉、観光など自治体が担う課題の複雑化があり、限られた人員と財源で質の高い県民サービスを維持する必要がある点がある。県は「県民目線・現場主義」に沿った政策形成と部局横断の成果創出を目指し、職員一人ひとりが主体的に挑戦できる組織づくりを重視している。
先行トライアルの成果と課題
同社が公表した今回の受託発表によると、前年度に一部部署を対象に実施したトライアル調査では、職場内の人間関係や上司の支援的関わりといった面で前向きな傾向が確認された一方で、組織運営の基盤や職員の働く環境には改善の余地がある点が明らかになったという。こうした知見を踏まえ、今回は全庁規模での調査実施と、結果に基づく改善施策の支援を進める。
「職員エンゲージメントの可視化と組織改善を支援し、県民サービスのさらなる向上に寄与する」
導入するクラウドサービスの規模と実績
「モチベーションクラウド エンゲージメント」は、延べ14,130社・約648万人(2026年3月末時点)のデータベースを持ち、自治体向けにも豊富な実績があるとされる。発表では、行政組織のデータとしては職員10万人以上の蓄積があると明記している。市場調査会社の報告書に基づく評価として、同サービスは従業員エンゲージメント市場でベンダー別売上金額・シェアでの高い実績も示されている。
県内にもたらす影響と住民への連鎖
今回の全庁的な取り組みは、職員の働きがいや定着率に影響を与える可能性がある。リンク社の保有データや過去の分析では、エンゲージメントが高い組織ほど休職・退職率が低い傾向が見られるとしており、県としては人材確保・定着の改善を通じて、長期的に県民サービスの質向上を図る狙いがある。
具体的には、以下のような連鎖効果が想定される。
- 職員の意識や職場環境の課題が明確になり、部署横断の改善策が立てやすくなる
- 定着率向上により専門性の蓄積が進み、業務の効率化や政策遂行力の強化につながる
- 県民に提供するサービスの継続性・品質が維持されることで、住民満足度の向上や地域の信頼に寄与する
住民にとっての実用的なポイント
住民として押さえておきたい点は次のとおりだ。まず、今回の調査導入は直ちにサービス内容の変化をもたらすものではないが、中長期的には行政の対応力や窓口サービスの改善に結びつく可能性がある。第二に、職員の業務配分や職場環境への改善が進めば、問い合わせ対応や事務処理の迅速化といった日常的な利便性向上が期待される。
| 項目 | 見込み効果 |
|---|---|
| 職員の定着 | 専門性の維持・向上、採用コストの抑制 |
| 部局横断の連携 | 政策の実行力強化、住民への一貫した対応 |
| 窓口・行政サービス | 応答時間短縮、サービス品質の向上 |
留意点と今後の確認事項
今回の公表は受託の事実と使用ツール、先行トライアルの概況を示すにとどまる。今後、県が示すべきポイントは、調査の対象範囲(全職員の何割を想定しているか)、個人情報や回答の匿名性の確保、調査結果を受けた具体的な改善策とそのスケジュールである。また、外部ベンダーに依頼することで得られる客観的なデータと、現場の実情をどう結び付けて実効性ある施策にするかが鍵となる。
県民・職員双方にとって透明性のあるプロセスが確保されれば、今回の取り組みは人材確保や業務効率化、サービス向上に向けた重要な一歩となる可能性がある。徳島県は今後、全庁導入に際しての詳細な計画や結果公表の方針を示すことが期待される。
(遠藤 望、プレスリリースジェーピー徳島県担当)