地域で育てて地域で働く「地産地活」モデルを鳴門で試行
2026年9月、徳島県鳴門市で女性を対象にした実践型デジタル人材育成プログラム「ママビヤplus」が始まる。運営主体のコクー株式会社は、AIやデジタルスキルの未経験者を対象に、学習から地域企業での実践(インターン)までをつなぐ二段階のプログラムを提供する。鳴門市内に開設した「鳴門オフィス」を拠点に、地方での人材育成と雇用創出を目指す試みだ。
同社は2026年5月に鳴門市の応援スタートアップ制度「なるスタ」に認定され、6月に四国エリア初の地方創生拠点として鳴門オフィスを設置した。今回の「デジタル人財の地産地活モデル-TRIAL-事業」の一環である「ママビヤplus」は、従来の子育て中の母親向け学び舎「ママビヤ」を発展させ、対象年齢を20〜40代に広げ、地域での就業機会を具体的に作ることを特色としている。
プログラムの構成と特徴
プログラムは大きく二段階に分かれている。まず全員が受講するPHASE 1(基礎・応用)でAIやデジタルの基礎を学び、受講生約15名程度が対象となる。その後、学習成果と意欲をもとに最大5名程度を選抜し、発展・実践段階であるPHASE 2に進む。PHASE 2では地域企業でのインターンシップに取り組み、実務を通じたスキル定着と就業に向けた実践的な経験を積む。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開始時期 | 2026年9月(予定) |
| 対象 | 20〜40代の女性(子育て中を含む) |
| PHASE 1 | 受講者 約15名程度(基礎・応用) |
| PHASE 2 | 選抜 最大5名程度(発展・実践/インターン) |
学習内容と指導体制
学習では生成AIを含む最新のツール活用を重視する。案内されている内容には、Google AI Plus等の生成AIツールを用いたプロンプト設計、業務自動化、アプリ連携、要件定義など実務に直結する項目が含まれる。コクーはこれまでに4,000人超のデジタル人材育成実績があるとしており、経験豊富な講師陣による対面とオンラインの混合型指導を行うとされる。
「学ぶだけで終わらない、実践から就業への足がかりを作るプログラム」として、地域での就業・転職・再就職を目指す女性を支援します。
地域への期待と具体的な影響
鳴門市をはじめとする地方自治体では人口減少と人手不足が深刻で、ITやDXに対応できる人材の確保は喫緊の課題だ。今回の取り組みは次の点で地域に影響を与える可能性がある。
- 女性のキャリア継続:子育て期を含む女性が地域内で再就業や転職を目指すための門戸を広げる。
- 地域企業のDX化支援:実践型インターンにより、地元企業が既存業務にAIやデジタルツールを導入するきっかけを獲得する。
- 雇用の循環:地元で育成した人材が地域で就業することで、労働力の地産地消(地産地活)を促進する。
自治体と企業が連携して行う研修は増えているが、学習から就業に結びつける選抜型の構成は、受講者の学習モチベーションを高める一方で、参加枠や選抜基準が限定的であるため広がり方に注意が必要だ。
留意点と今後の展望
本プログラムは試行(TRIAL)事業として位置づけられており、成功すればモデルを他地域へ展開する狙いがある。一方で、地域での定着には企業側の受け入れ体制や長期的な雇用確保が不可欠だ。鳴門市内の企業がインターン受け入れ後に採用や業務継続をどの程度行うか、また受講者が育児や通勤等の制約を越えて働き続けられる環境整備が進むかがポイントになる。
コクーは企業内で女性比率が高く、育成から就業支援まで一貫したノウハウを持つとされる。鳴門での実証が成功すれば、地域の女性がデジタルスキルを武器に地元で働き続ける「地産地活」の事例となる可能性がある。行政側と企業側の連携、受講者支援の仕組み化、インターンから採用につなげるための条件整備が今後の注目点だ。
受講希望やプログラムの詳細については、コクーおよび鳴門市の公表情報を確認することが重要だ。地域企業や自治体が参加・協力することで、鳴門発の先進的な人材育成モデルが他の地方都市にも波及することが期待される。