週末に開く小さな台所、学生が地域の味つなぐ
徳島市中心部の繁華街で、金曜と土曜の夜だけ灯る小さな惣菜店がある。看板には「おばんざい 結」と書かれ、店主は四国大学の健康栄養学科に通う学生だ。平日は実験や授業で管理栄養士を目指す一方、週末は割烹着に着替えてカウンター越しに客と会話しながら料理を提供する。店は固定の独立店舗ではなく、空き店舗を間借りする形で運営しており、2024年からマルシェやイベントにも出店している。
店主は提供する食材について可能な限り徳島県産を使うこと、そして「健康的におばんざいを楽しみながら地域の人が集える場を作る」ことを重視している。来店客は地元の味を喜び、店主は「美味しいと喜んでもらえればよかった」と控えめに語る場面もある。
「徳島を盛り上げたいというのはずっとあった」
地域課題と若者の実践が重なる場
この取り組みは単なるアルバイトや趣味にとどまらない。地元食材の活用、空き店舗の利活用、そして孤食や個食の解消といった地域が抱える課題に直結する要素を含む。若年層が主体となって地域の飲食空間をつくることは、商店街や繁華街のにぎわい回復にもつながる可能性がある。
飲食業界では、固定費の高さや人手不足から若い世代が独立しにくい現状があるが、間借り営業やイベント出店といった柔軟な形態は初期費用を抑えつつ試行錯誤できる利点がある。さらに、大学で学ぶ知見を料理に生かすことで、栄養面を意識したメニュー提供が期待できる点も特徴だ。
来店客と地域に与える具体的な影響
店舗は週に二日間の営業だが、来店者にとっては「一緒に食べる場」が得られる価値がある。高齢者や単身者にとって、外食やテイクアウトが孤独を和らげる機会になり得る。地元の生産者にとっても、若者が地場産品を採用することは販路の拡大や認知度向上につながる。
- 学生が地元産食材を優先して購入・調理することで、地域の農水産物の需要喚起に寄与する。
- 空き店舗を活用することで、中心市街地の回遊性向上や地域の景観維持に貢献する。
- 短期・限定営業の形態は、若者の起業リスクを抑えつつ実践の場を提供する。
運営の実情と今後の展望
記事の取材時点では、店は主に週末の金曜・土曜に間借り営業している。学生としての学業や実験と両立させながらの運営であるため、営業日や提供メニューは季節や学業のスケジュールに応じて変動する可能性がある。地元のイベントやマルシェへの出店経験があることから、今後も出店形態を軸に活動を拡大していく余地がある。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営主体 | 四国大学 健康栄養学科の学生(週末に営業) |
| 営業形態 | 空き店舗の間借り、マルシェ・イベント出店 |
| 主な方針 | 徳島県産食材の優先使用、地域で集える場づくり |
地域の関係者は、若い世代のこうした取り組みを支えるために柔軟な店舗提供やイベント連携、情報発信の支援を行えば相乗効果が期待できる。自治体や商店街が空き店舗のマッチングや夜間の安全確保、集客支援を行うことも、活動の継続性を高める一手となる。
利用を考える住民への実用情報
間借り営業のため、訪れる前に営業日を確認することを勧める。特に学生の学業都合で営業時間が変わることがあり得るので、SNSや出店情報をこまめにチェックするのが確実だ。また、提供メニューは地元食材を使った小皿中心の惣菜が多く、一人での来店でも数品をシェアして楽しみやすい構成になっている。
この種の小規模飲食は現金のみ、あるいはキャッシュレス決済の有無が店舗ごとに異なる場合があるため、事前確認を。飲食を通じて地元の若者を応援したい住民は、メニューの感想を直接伝えることで店主の励みになり、口コミでの広がりが生まれる。
徳島では、若者が地域資源を活用しながら実社会で学ぶ場が増えている。週末だけ開くおばんざい店のような試みは、飲食を介したコミュニティづくりと地域経済の活性化という二つの効果を持ち、今後も注目に値するモデルとなり得る。