地域の主要施設で避難所運営を実地学習
高松市内の公立小学校の一つ、香川大学教育学部附属高松小学校の児童約600人が、あなぶきアリーナ香川を会場にして1泊2日の防災合宿に参加しました。今回の取り組みは学校として初めて大規模避難所の運営を宿泊を含めて体験する試みで、高松市、香川県防災士会、香川大学などが協力して実施されました。
合宿では、避難所での食事を想定した炊き出し体験や、入浴支援に使われる自衛隊の簡易入浴設備の見学、避難所での就寝を想定した段ボール製の簡易ベッドの組み立てと就寝など、被災直後から避難所生活に至る一連の流れを児童が実際に体験しました。夜の就寝は午後9時消灯で、児童は互いに役割分担しながら準備を進めました。
「最初は難しかったけど、慣れたら役割分担とかして簡単になってきた」
現場体験がもたらす学びと地域への波及
避難所運営を実地で学ぶことは、単に知識を教えるだけでは得られない実感を与えます。児童からは「温かくて気持ちいい」「本物の災害が起きた時にも備えができる」といった感想が聞かれ、避難所での秩序維持や協力の必要性を具体的に理解した様子がうかがえました。
今回の合宿は、以下の点で地域の防災力強化につながると考えられます。
- 児童が避難所の生活実態を理解することで、家庭内でも災害時の対応が話題になりやすくなる。
- 学校・自治体・大学・防災士会などが連携して訓練を行うことで、実際の災害時における役割分担や連携体制の検証ができる。
- 地域住民向けの避難所運営改善や物資配置の実務面で、現場からのフィードバックが期待できる。
体験の内容と運営のポイント
合宿で行われた主なプログラムは以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 炊き出し体験 | キッチンカーで調理されたカレーや焼きそばを分け合う実地学習 |
| 入浴設備見学 | 自衛隊が大規模災害で用いる簡易入浴設備の仕組みを確認 |
| 宿泊体験 | 段ボール製の簡易ベッドを自作して就寝、夜間の避難所環境を体感 |
運営側は支援物資の集積拠点としての施設運用や、避難者同士の調整、衛生管理など現実的な課題も現場で示しました。児童の安全確保のため、教職員や防災関係者が常時配置され、夜間の巡回や体調管理が行われました。
住民にとっての具体的な影響と今後の課題
この種の学校主導の避難所体験は、児童だけでなく家庭や地域に波及していく点が重要です。児童が学んだことを持ち帰ることで、家庭での避難場所や家族の集合場所、非常持出袋の点検といった具体的な備えの見直しにつながる可能性があります。
一方で、実運用を想定した訓練としては幾つかの課題も残ります。例えば、長期化する避難生活におけるプライバシー確保、ペットや高齢者、障がい者への配慮、食事やトイレの衛生管理、精神面のケアなど、現場での実務と支援資源の確保が不可欠です。今回の合宿は短期体験であるため、これら長期課題への取り組みをどう地域全体で継続していくかが今後の課題となります。
行政や学校側には、体験結果を踏まえた改善点の整理と、地域住民を巻き込んだ公開訓練の開催を期待したいところです。実際の災害時には、避難所が支援物資や情報発信の拠点となるため、日頃からの連携と役割分担の明確化が被害軽減に直結します。
香川県内では南海トラフ巨大地震が懸念されており、沿岸部を含む多くの地域で大規模な避難が必要となることが想定されます。今回のような学校主導の実地訓練は、将来の被災時における初動のスムーズさや地域のレジリエンス(復元力)向上に資する取り組みです。地域の施設を活用した訓練を継続し、住民一人一人が具体的な備えを持つことが求められます。
報道担当:藤井 一郎(プレスリリースジェーピー香川県担当)