学校発の大規模体験、実践的な避難所生活を学ぶ
香川大学教育学部附属高松小学校は7月8日と9日の両日、サンポート高松内の体育・イベント施設「あなぶきアリーナ香川」で同校として初めて全校児童を対象にした避難所体験合宿を行った。参加したのは全校児童約600人と教員36人。香川県防災士会の協力を得て、防災への理解と異学年交流をテーマにしたプログラムを展開した。
初日は校内での防災ゲームののち、夕刻から会場に移動して実際の避難所を想定した生活を体験した。児童たちは段ボールベッドの組み立てを行い、災害時に導入される簡易的な寝具や過ごし方を実際に体験した。また、災害時の生活の一端を知るための足湯や集団での食事なども取り入れられ、日常との違いを実感する構成となった。
「体験を通じて避難生活を想像してもらいたい。日常の便利さと避難所の不便さを実際に感じることで、防災を自分ごととして深く考え、よりよい避難所を作るための行動につなげてもらえたら」―藤元恭子校長
藤元校長は体験の目的として、避難時の不便さを実感することと、見知らぬ人と共同生活を送る場面での思いやりや協働の必要性を挙げた。校長の説明によれば、異学年の児童同士が寝食を共にすることで、互いを思いやる心や協力する力を育む狙いがあるという。
中心市街地を巡る「TAKAMATSUフォトロゲイニング」も実施
合宿の2日目は縦割りの班ごとに分かれてサンポート広場を拠点に高松中心市街地を巡る校外学習を行った。白4組は「TAKAMATSUフォトロゲイニングプロジェクト」を掲げ、児童自らがコースを考案して写真を手がかりにチェックポイントを回る競技形式の学習を行った。
前日に児童が丸亀町商店街から南新町商店街にかけて撮影したチェックポイントの写真を基に、当日は6チームに分かれて2時間の制限時間内で商店街などのスポットを巡り得点を競った。保護者も参加し、児童は街中を歩きながら地域の魅力を再発見する機会を持った。
- 参加規模:全校児童約600人、教員36人
- 日程:7月8日〜9日
- 会場:あなぶきアリーナ香川(サンポート高松)および高松中心市街地
- 協力:香川県防災士会
6年生の市川陽奈子さんは、段ボールベッドをみんなで協力して作り実際に寝てみた経験から「肩が痛くなって避難所で暮らす大変さを感じた」と振り返った。一方、フォトロゲイニングについては街歩きの中で新しい店や場所を知り、商店主らに写真撮影の許可を求める際のやりとりから「街の良さを改めて感じられた」と話している。
地域と連携した学びが持つ意義と今後の波及
今回の合宿は、学校単位で避難所の実態を体験させる取り組みであり、児童の防災意識向上と地域理解促進という二つの目的を同時に果たしている。実践的な体験学習は、単に知識を教えるだけでなく、実際の生活の不便さや互助の重要性を体感させる点で有効だ。特に異学年が混ざる縦割り活動は、災害発生時に年齢や家庭環境が異なる人々が協力して生活する際の基礎力を養う機会となる。
また、中心市街地を使ったフォトロゲイニングは、児童が主体的に地域を観察し、商店街などとの接点を持つことで地域コミュニティとのつながりを深める効果がある。保護者や商店側の協力があって初めて成り立つ企画であり、今回のような学校主導の取り組みが地域の防災力向上にもつながる可能性がある。
今後、同様の体験学習を継続・拡大する場合は、避難所運営を担う自治体や医療・福祉関係者との連携、発災時の負傷者対応やプライバシー確保の訓練、実際の避難所での物資配給や情報伝達訓練なども取り入れることが考えられる。学校現場で得られた気づきや課題は、地域防災計画の見直しや住民向け訓練にも反映させることが望ましい。
住民への実用的な示唆
今回の合宿は、次のような住民にとっての実用的示唆を提示している。
- 子どもたちの避難所体験は家庭での備え(非常持出袋、寝具、薬、コミュニケーション方法)の確認につながる。保護者は子どもの体験内容を共有し、家庭の防災計画を点検するとよい。
- 地域の商店街や施設は学校行事への協力を通じて地域防災ネットワーク構築に寄与できる。互いの役割や連携方法を事前に話し合うことが有効だ。
- 自治体は学校での実践から得られた課題を踏まえ、避難所運営や備蓄、情報伝達の改善点を地域全体で検討する契機とすべきである。
今回の合宿について学校は、体験を通じて児童一人一人が避難生活の実際を想像し、自らの行動や地域の避難所づくりに主体的に関わる意識を育むことを目的としている。防災教育と地域交流を組み合わせた今回の取り組みが、今後どのように発展し地域の防災力向上に結びつくかが注目される。
(藤井 一郎・プレスリリースジェーピー香川県担当記者)