徳島産スダチ、20年で生産量大幅減
徳島県を代表する柑橘、スダチの生産量が近年、深刻な減少傾向を示している。報道によると、2000年の約6900トンから、2022年に約2400トンへと落ち込み、かつての3分の1程度に縮んだ。県外の加工メーカーや醸造業者にも原料不足として影響が及んでいる。
産地で見える現場の厳しさ
県内最大の生産地である神山町では、JAのスダチ部会員数がこの10年で約600人から約450人に減少した。取材で農家を訪ねると、栽培・収穫作業を担う人手の確保が難しくなっている実態がうかがえる。こうした担い手の減少は、樹園地の手入れや出荷規格の維持にも直結する。
加工・流通への波及と事例
原料不足は加工業者の販売計画にも影を落としている。報道では酒造メーカーが一時的に一部商品の販売を休止した事例が紹介されたほか、醤油メーカーがスダチの代替としてカボスを使用する動きを余儀なくされたことが伝えられている。菊正宗のマーケティング担当者はスダチ果汁不足による「休売」の影響を示した。
「スダチ自体の収穫量が減っているということで、2023年の春ごろは『休売』という形をとった」
別の醤油メーカー社長は、スダチが徳島産にほぼ一極集中している点を挙げ、代替品導入による風味差を懸念している。
- 生産量の長期的な減少(2000→2022年)
- 主産地の農家・部会員の減少(約600人→約450人)
- 加工・販売面での供給不足と商品休売・代替素材の採用
なぜ減ったのか:現状の要因整理
報道が示す主要因は担い手の減少だ。高齢化や後継者不足、ほかの産業や都市部への流出が進む中で、手間のかかる果樹栽培を続ける人が減っている。収量管理や病害対策、規格選別などに必要な人手が確保できないことが、結果的に出荷量の低下につながっている。
住民・消費者への影響と今後の着眼点
スダチは地元の食文化や観光、加工産業と密接に結びついている。原料不足は地元産品を使った年間商品や季節商品、観光土産品の企画にも制約を与える。消費者は従来と同じ風味を求める一方で、供給が安定しないことで価格変動や選択肢の縮小が起こる可能性がある。
対応としては、以下のような観点が今後の焦点となる。
| 課題 | 注目点 |
|---|---|
| 担い手確保 | 若手育成、就農支援、労働軽減の仕組み |
| 生産性維持 | 栽培技術の継承、樹園管理の効率化 |
| 流通安定 | 収穫期の調整、加工ストックの確保 |
地域の取り組みを注視する意味
報道は現場の声とともに、スダチの風味を求める加工業者の苦慮を伝えている。徳島の特産としての価値を維持するには、生産基盤の強化と流通の安定化が不可欠だ。農家、JA、行政、加工業者が連携し、担い手確保と生産効率の向上を図ることが求められる。
住民にとっては、地元産品の継続的な供給と品質維持は生活文化の維持にも関わる問題だ。消費者側でも地元産を選んで支える動きや、季節商品の早めの確保、代替素材の風味差への理解が、短期的な対処として役立つだろう。
(遠藤 望/プレスリリースジェーピー徳島県担当記者)