県内産水素を活用した実用性検証、出発式を鳴門で実施
徳島県は令和8年7月7日、国内で初めてとなる「水素エンジン ハイブリッド車」の社会実装に向けた協働実証を開始し、鳴門市の鳴門公園千畳敷で出発式を行った。実証はトヨタ自動車と連携して進められ、実務での使用を通じて事業化の可能性や運用上の課題を令和8年12月22日までに整理する計画だ。
対象車両は、トヨタの水素エンジン搭載ハイエース(ハイブリッドシステム)。内燃機関を基に燃料をガソリンから水素に置き換える方式で、走行時のCO2排出をほぼ抑制できる点が特徴となる。
実証の枠組みと参加組織
実証は、県内の企業や大学と協働し、日常業務の車両運用に組み込む形で行う。参加する主体は次の通り公表されている。
- 協働主体:徳島県、トヨタ自動車株式会社
- 特別協力:東亞合成株式会社
- 実証パートナー(例):アオアヲ ナルト リゾート、ホテルリッジ、モアナコースト、海月館グループ、徳島大学、四国大学
県側の担当窓口は生活環境部サステナブル社会推進課の脱炭素推進担当で、問い合わせ先が公表されている。
背景と狙い — 地域脱炭素と地産地消の連携
徳島県は2050年カーボンニュートラルの実現をめざす中で、電気自動車(EV)や蓄電池だけでなく、水素の利用を含めた多様な選択肢を検討している。本実証は、県内で生産した水素を燃料源として活用することで、地域内のエネルギー循環を促進しつつ、商用車など実務用途での有用性を確認する狙いがある。
「水素を燃料とすることで走行時にほぼCO2を排出しない」
この方式が物流や観光、公共サービスなど日常のビジネス運用にどの程度適合するかを、実車での稼働データや運用面の課題を通じて明らかにすることが目標だ。
住民と事業者にとっての具体的な影響
今回の実証は、次のような点で地域に具体的な影響をもたらす可能性がある。
- 事業運営コストの変化把握:水素燃料の供給体制や価格、車両の燃費・保守コストを実務運行で確認することで、地元事業者が将来的に導入の可否を判断しやすくなる。
- 観光・物流の脱炭素化:観光業や中小物流事業者が導入する場合の利便性や制約(燃料補給地点の有無、航続距離、定期点検の頻度など)が明確になる。
- 雇用・地域産業への波及:水素の製造・供給やメンテナンス関連の需要が生まれれば、地場企業の新たな事業機会や雇用創出につながる可能性がある。
ただし、普及に当たっては水素ステーションの設置状況、燃料コスト、車両の導入費用と廃棄・リサイクル対応、整備技術者の育成といった課題が解決される必要がある。これらは実証から得られる運用データと関係者の知見で検証される。
実証から期待される成果と今後の展望
県は今回の取り組みを通じ、地産地消型の水素活用モデルを示すことで、地域脱炭素の選択肢を拡げたい考えだ。実証期間中に収集されるデータは、他の自治体や事業者が水素導入を検討する際の参考になる。成功すれば、徳島発のモデルが四国や全国へ波及する可能性もある。
一方で、本格導入には複数年度にわたる評価や関連インフラ整備が必要であり、今回の短期実証はあくまで初期段階の検証である点に留意が必要だ。県は実証結果を踏まえ、将来の政策判断や民間連携のあり方を検討するとみられる。
| 実証期間 | 令和8年7月7日〜令和8年12月22日 |
|---|---|
| 実証車両 | トヨタ 水素エンジン ハイエース(ハイブリッド) |
| 主な協働主体 | 徳島県、トヨタ自動車(特別協力:東亞合成 他:地元企業・大学) |
問い合わせ先として、徳島県 生活環境部 サステナブル社会推進課(脱炭素推進担当)の連絡先が公表されている。地域の自治体、事業者、住民は実証の進捗や公表される運用データを注視し、将来的な導入可能性を検討する必要がある。
(遠藤 望)