香川大学共催で始動 中高生向け金融教育の地域連携プロジェクト
一般社団法人日本金融教育支援機構と香川大学が初めて共催する「第4回FESコンテスト®香川県地区大会」のキックオフイベントが、香川大学イノベーションデザイン研究所で開かれました。会合には香川県庁、百十四銀行、NTTドコモ四国支社、香川県信用保証協会、セトラスホールディングスら地域の企業・団体に加え、大学生運営委員が参加。中高生を対象にした金融教育を、地域全体で支える体制づくりが本格化します。
香川県は、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「金融リテラシー調査2025年」で、金融知識・判断力を問う設問の平均正答率が全国1位となっており、2016年以降もトップ3を維持するなど、金融教育の成果が示されています。今回の地区大会は、こうした地域の強みを次の世代に繋げる狙いを明確に打ち出しています。
大学の教育制度に組み込む仕組み
特徴の一つは、香川大学側が本プロジェクトを活用した単位認定制度を導入した点です。大学生は運営委員としてワークショップの運営、中高生の作品制作支援、地区大会の運営や審査に参加します。大学横断型PBL(SCP:Social Cross Project)との連携も想定されており、学生の学びと地域貢献を両立させる教育モデルの構築が進められます。
実践重視のプログラムとワーク
キックオフでは、参加者がグループに分かれて「お金の8つの力」をテーマにしたワークを実施しました。付箋に挙げた言葉を分類しながら、世代や立場を越えた議論を重ね、どの知識を中高生に伝えるべきか、香川らしい伝え方は何かを具体化する場になりました。
- 参加者:行政、大学、金融機関、地域企業、大学生運営委員
- 主なテーマ:「使う・稼ぐ・納める・貯める・備える・贈る・借りる・増やす」
- 狙い:中高生の金融リテラシー向上と大学生の実践的学修の促進
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 共催・主催 | 日本金融教育支援機構、香川大学(初共催) |
| 参加団体 | 香川県、百十四銀行、NTTドコモ四国支社、香川県信用保証協会、セトラスHD等 |
| 対象 | 中高生(コンテスト・ワークショップ)、大学生(運営・支援) |
行政や企業の役割分担と期待
参加した各組織はそれぞれ役割を分担し、行政は学習機会の周知や連携調整、金融機関や企業は教材協力やメンター役を担う見込みです。キックオフでは、互いに参加理由や期待を述べ合う場が設けられ、「実際に使える知識」「地域特性を生かした教材づくり」など、現場視点の要望が多く出されました。
「大学生が運営の中心となり、中高生が作成した動画が小学生の教材になるこの金融教育動画コンテストが開催されることは、誠に意義深いものと考えております。」
(池田豊人香川県知事からのメッセージより抜粋)
地域への影響と住民への実用情報
今回の取り組みは、単なるイベント開催に留まらず、次のような地域インパクトが期待されます。まず、中高生が早期に金融の基礎を身につけることで、将来的な生活設計や消費行動の適正化に資する可能性があります。成年年齢の引き下げやキャッシュレス化の進展を踏まえると、若年層が「自分で判断する力」を備えることは、個人の生活安定だけでなく地域経済の健全性にもつながります。
また、香川大学の単位認定という仕組みが定着すれば、学生の地域参画が恒常化し、企業側も若年人材と接点を持つ機会が増えるため、地域の人材循環(学生→就労→地域貢献)の形成に寄与します。企業にとっては、新たな採用広報やCSRの場ともなり得ます。
住民向けの実用的なポイントは以下の通りです。
- 中高生向けワークショップや公開イベントの開催案内は、香川県や香川大学の告知を注視すること。
- 教育関係者や保護者は、学生制作の教材や動画が学校現場に導入される機会に備え、評価や活用方法の検討を行うことが望ましい。
- 地域企業は協働参加の方法を問い合わせることで、教材提供や実務講師として参画できる可能性がある。
キックオフで示された共同作業は、今後の地区大会運営や教材開発の進展で具体化します。香川県が持つ高い金融リテラシーを単発の成果に終わらせず、世代を跨いで持続的に伝えるため、大学・行政・企業がどのように連携を深め、現場での学びを効果的に設計するかが焦点になります。今後の地区大会日程や公開イベントの情報は主催者から順次発表される予定です。
(取材・文/藤井 一郎)