仲介サイト手数料が自治体財政に重くのしかかる
2024年度に茨城県内の自治体がふるさと納税の仲介サイト運営事業者へ支払った手数料は、取材で明らかになった合計42億5078万円に上りました。県と44市町村への聞き取りで判明した数値で、1自治体あたりの平均支払額は9446万円でした。手数料の負担割合では茨城町の17.0%が最も高く、県内平均の11.83%は全国平均(11.45%)を上回っています。
手数料額が自治体ごとに大きく異なる点も特徴です。最も多かったのは境町で、手数料額は6億9598万円。寄付総額が大きかった守谷市は県内で寄付総額が最多の69億5878万円を集める一方、手数料も多く6億4075万円に達しました。日立市やつくばみらい市なども高額の手数料負担が確認され、県内では9市町で年間手数料が1億円を超えています。
自治体側の反応と総務省の要請
総務省は仲介事業者に手数料の引き下げを求めており、茨城県内でも自治体側から引き下げを求める声が相次いでいます。市町村担当者からは、手数料が自治体の経費や返礼品充実を圧迫しているとの指摘が出ており、ある自治体はサイト事業者の競争が見られないとの懸念を示しました。
「少しでも割合が下がればありがたい」
こうした声は境町の担当者が表明したもので、地域の特産品を広く知らせる機会としてサイトを評価する意見と、手数料負担の重さを懸念する意見が自治体ごとに分かれている状況がうかがえます。県自身は、仲介サイトを通じた寄付が地域の魅力再発見につながっているとする一方で、総務省の要請の結果が出るまでコメントを控えるとしています。
住民サービスと自治体決算への影響
全国レベルでは24年度の寄付総額が過去最大の1兆2728億円に達した一方、返礼品調達費や手数料の増加で自治体側は合計863億円の赤字となりました。茨城県内でも仲介手数料が大きく、自治体の本来の使途である住民サービスの財源を圧迫し得る点が問題視されています。
住民にとっての具体的影響は次の通りです。
- 教育、福祉、インフラ整備などの通常財源が圧迫されるリスク
- 返礼品の質・量の見直しを迫られ、地域振興策に影響が出る可能性
- 自治体が独自に寄付を募る際のコストや手間が増えること
自治体別データと傾向
公開されたデータを表で整理すると、自治体ごとの寄付総額と手数料額のばらつきが確認できます。代表的な数値は次の通りです。
| 自治体 | 寄付総額 | 手数料 | 手数料率 |
|---|---|---|---|
| 守谷市 | 69億5878万円 | 6億4075万円 | (該当記事記載) |
| 境町 | 57億2237万円 | 6億9598万円 | 12.2% |
| 茨城町 | (該当記事未記載) | (該当記事未記載) | 17.0% |
※記事では一部自治体について詳細な寄付総額や手数料率が示されていますが、上表は代表例の抜粋です。
背景と今後の見通し
ふるさと納税は地域の特産品を広く知ってもらう手段として定着しましたが、寄付を募集するプラットフォームに依存する構造が恒常化すると、仲介手数料が自治体の財政に与える影響は大きくなります。自治体側はサイトに頼らざるを得ないとする声がある一方で、手数料引き下げを求める動きも強まっています。総務省の要請がどの程度実効性を持つかが、今後の焦点となります。
県内自治体や住民が押さえておくべきポイントは次の通りです。
- 仲介手数料は寄付総額の1割前後に達しており、自治体ごとに差が大きい。
- 手数料の増加は自治体の通常財源を圧迫し、住民サービスに影響を与える可能性がある。
- 総務省による事業者への引き下げ要請の動向を注視する必要がある。
茨城県と市町村は今後、手数料負担の軽減に向けた協議や、寄付の募集方法の見直し、あるいは独自の広報強化といった対策を検討する可能性が高いとみられます。住民は寄付先を選ぶ際、仲介サイトの利用手数料が自治体にとってどう影響するかを念頭に置くことも一つの判断材料となるでしょう。
(取材・中村 智子)