消費者向けパッケージで脱プラ加速
株式会社ドトールコーヒー(本社:東京都渋谷区)は、長瀬産業(本社:東京都千代田区)が総代理店を務めるガスコントロール技術「TiMELESS®(タイムレス)」を、ドトールが店舗およびオンラインで販売するレギュラーコーヒー豆の一部パッケージに採用すると発表した。導入は2026年7月以降、順次行われる予定で、家庭で日常的に購入される豆袋にも環境配慮型包装を拡大する狙いだ。
TiMELESS®は、焙煎後のコーヒー豆が自然に発する炭酸ガスを逃がすために従来用いられてきたプラスチック製の脱気バルブを不要にする技術で、フィルムや紙のシール部分に微細な流路を形成することでガスを放出する仕組みを持つ。これにより、プラスチック使用量の削減やリサイクル性の向上、部材点数の削減による生産効率の改善が期待されている。
「TiMELESS®は袋のシール部分に微細な流路を形成することで、プラスチックバルブを使用することなくコーヒーから発生するガスを逃がすことができます。」
導入の背景と企業の取り組み
ドトールはこれまでにも限定セットや一部業務用製品でTiMELESS®を採用してきたが、今回の発表は、日常利用される小売向けパッケージへ展開を広げる点が特徴だ。ドトール側は今回の切り替えにより、消費者が環境配慮型の選択肢を手に取りやすくすること、そして業界全体のサステナビリティ向上に寄与することを目指すとしている。
消費者と流通に与える具体的な影響
今回のパッケージ変更は消費者の日常に直接届くため、消費側と製造・流通側の双方で変化が生じる可能性がある。想定される影響は次の通りだ。
- 消費者利便性:従来どおり袋を開けて豆を使える点は変わらないが、袋に付くプラスチック部材が減ることで廃棄時の分別が簡略化される可能性がある。
- リサイクル性:脱気バルブがない分、包装資材全体のリサイクル工程での手間が軽減される見込みだ。
- 生産側の効率化:部材・工程の削減によって包装ラインの工程やコストに影響が出る可能性があり、長期的には製造コストや納期に関する最適化が期待される。
技術の提供と連携体制
TiMELESS®は株式会社MIB(東京都渋谷区)が開発し特許を取得した技術で、長瀬産業がコーヒー向け用途の総代理店を務める。ドトールは長瀬産業との連携を通じ、導入規模や設備導入の支援を進める方針だ。ドトールと長瀬産業は、今回の展開がコーヒー業界全体の持続可能性向上につながることを目指している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 導入技術 | TiMELESS®(ガスコントロール技術) |
| 導入時期 | 2026年7月以降、順次 |
| 導入対象 | ドトールショップ 店舗・オンラインの一部レギュラー豆パッケージ |
| 関係企業 | ドトールコーヒー、長瀬産業、MIB |
留意点と今後の展開
今回の発表は環境負荷低減の方向性を示すものだが、消費者が実際に受ける恩恵やリサイクルの実効性は、自治体の分別ルールや回収インフラ、販売されるパッケージの素材構成次第で変わる。また、TiMELESS®の適用で脱気性能や保存性に変更が出ないか、消費者の嗜好に影響がないかといった点は、導入後の市場反応を見る必要がある。
ドトールは既に限定商品や一部業務用での採用実績があると公表しており、段階的に対象商品を拡大していく方針だ。消費者は購入時にパッケージ表示を確認することで、環境配慮型の包装かどうかを判断できるようになる。
都内の多くのコーヒー消費者にとって、日常的に利用する店舗ブランドが包装の脱プラスチックに取り組む意義は大きい。今回の発表は企業のサステナビリティ対応が消費者接点で具体化する一例であり、他の食品・飲料メーカーや小売業界にも波及する可能性がある。今後、導入拡大と併せて、各社や自治体の分別・リサイクルルールとの整合性が重要になってくるだろう。
(取材・執筆:佐々木 翔)