ビットゲットのウォレット利用、1億人に到達
暗号資産(仮想通貨)取引所ビットゲット傘下で独立運営されるウォレットサービス「Bitget Wallet」が、利用者数で世界1億人を突破したと7月7日に発表した。運営側は同時に、1日あたりの決済ユーザー数がプラットフォーム史上初めて取引ユーザー数を上回った点を強調している。
発表資料によれば、利用者の半数以上は東南アジア、南アジア、アフリカ、ラテンアメリカといった新興市場に拠点を置くユーザーで占められている。これらの地域ではウォレットを単なる投資・取引の手段ではなく、ドル建てに相当するステーブルコインを利用した「事実上の預金口座」や給与受取口座、日常の支払い手段として使うケースが増えているという。
- 発行されたウォレットカードは15万枚超
- 利用可能市場は50以上
- 加盟店は1億5,000万店超
運営側が公表した利用データでは、2026年上半期のカード利用額が3,100万ドル(約50億円)に達し、2025年下半期比で191%増となった。新興市場ではさらなる伸びを示し、同期間で416%増と世界平均を大きく上回っている。
「これらの市場における次のユーザー層は、これを暗号資産とは考えていない。彼らはドル建ての残高を持ち、それを使い、そこに給与を受け取り、国境を越えて移動させている。その口座がたまたまオンチェーンにあるだけだ」
この発言はBitget WalletのCOOであるアルビン・カン氏のコメントとして公表されたもので、従来の投機的な仮想通貨利用とは異なる日常的な利便性の側面を示すものだ。
なぜ新興国で広がるのか
発表は、利用拡大の背景として新興国の不安定な通貨環境を挙げる。具体例として、ナイジェリアでは2024年に自国通貨ナイラの対ドル価値が大幅に下落したこと、アルゼンチンでもペソ安と高インフレが続いていることを指摘している。こうした状況で、安定した価値を保つステーブルコインを用いることで、資産保存や給与受取、日常決済を行う需要が生まれているという説明だ。
従来の国際送金は1回あたり平均で数パーセントから高い場合には5〜8%程度の手数料がかかるとされる。これに対しブロックチェーン上の決済やステーブルコインを用いた送金は、手数料が低いか、送金の速度や受け取りの容易さで優位性を持つ場合がある。発表のデータは、こうした実務面での利点が利用拡大につながっていることを裏付ける。
国内への示唆と課題
国内の消費者や事業者にとって、海外で広がるステーブルコイン等の利用は直接的な影響を与えにくい面もあるが、次の点は注視が必要だ。
- 国際送金・海外決済のコスト構造の変化:企業の輸出入や海外勤務者の送金に新たな選択肢が生まれる。
- 規制・税務の対応:ステーブルコインやオンチェーン決済をどのように扱うかは各国で議論が分かれている。
- 消費者保護と金融安定:価格安定性をうたうステーブルコインでも発行体や連動資産の透明性が重要となる。
特に日本では法制度が他国と異なり、暗号資産の決済利用やステーブルコインの位置付けについて明確な枠組みが求められる。事業者側も、海外で伸びるサービスをどう連携させるか、法令遵守やマネーロンダリング対策(AML)をどう担保するかが問われる。
データの提示
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| ユーザー数(世界) | 1億人 |
| ウォレットカード発行枚数 | 15万枚超 |
| 利用可能市場 | 50以上 |
| 加盟店数 | 1億5,000万店超 |
| 2026年上半期カード利用額 | 3,100万ドル(約50億円) |
| カード利用額の増加率(2025下半期比) | 191%増 |
| 新興市場の増加率 | 416%増 |
報告された統計はサービス側の公開データに基づくものであり、外部の独立検証は示されていない点にも注意が必要だ。
結論として、Bitget Walletの利用拡大は新興国における「通貨代替」的な使われ方の実態を示しており、国際決済や海外送金のあり方に変化をもたらす可能性がある。国内の金融当局や事業者は、利便性とリスク管理の両面から動向を注視すべきだ。