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自治体AXに向け「共同化」で格差是正を提言

東京都とGovTech東京主催のカンファレンスで、PolimillのCOOが自治体向けAIの共同基盤化を提案。無償提供やアプリ流通で地域間格差是正を目指す方針を示した。

自治体AXに向け「共同化」で格差是正を提言
©イラスト AI生成 :佐々木 翔/プレスリリースジェーピー

東京都主催の会合で示された自治体向けAIの共同化戦略

2026年7月5日、東京・有楽町のTokyo Innovation Baseで開かれた「ガブテックカンファレンス-オールジャパンで進める自治体DX・AX-」において、民間企業Polimill株式会社のCOO、谷口野乃花氏が登壇し、自治体行政の再設計(AX)に関する具体的な共同化の方策を示した。主催は東京都と一般財団法人GovTech東京で、全国28府県から111名の関係者が参加した。

会議は二部構成で行われ、第1部では都県の知事らが地域課題と取り組みを説明。第2部ではデジタル庁や複数のテック企業と並び、Polimillが「自治体のAI活用と自治体AXの展望」をテーマに発言した。

「これからは、共通インフラの上で知恵を出し合い、地域課題を共に解決する『共創』の時代。官と民が垣根を越えて、オールジャパンでエコシステムを構築していく」

谷口氏は講演で、人口減少と行政需要の同時進行が進む「2040年問題」を出発点に、全国の自治体が直面する構造的な課題を三点に整理した。

  • 広がる自治体間格差
  • 知識とノウハウの分散
  • 限られた予算の固定化

これらの課題に対して谷口氏は、共通のプラットフォームと仕組みを通じて解消を図る「共同化」を提案した。具体策として示されたのは以下の三本柱である。

  • 格差を“ならす”:Polimillが提供する「QommonsAI」を1,000アカウントまで永続無料で提供する方針を掲げ、財政力の差がサービス差に直結するのを防ぐと説明した。
  • 知識を“つなぐ”:全国で活用されているAX基盤へナレッジを集約し、約1,000自治体・約50万人の職員が利用している既存の導入実績を活用することで、散在する業務知見を共有化する。
  • 予算を“動かす”:共通基盤上でAIアプリを流通させる仕組みを整備し、開発負担や運用コストを分散させることで小規模自治体でも高度な機能を利用可能にする。

また、同氏は行政業務向けのAIアプリストア「Qommons ONE」のβ版を2026年7月末にリリース予定であると明らかにし、正式公開前にもかかわらず大手キャリアやSIerを含む20社以上から掲載希望が寄せられていると述べた。

都内・自治体現場に与える影響と留意点

Polimill側の提案は、都内を含む自治体の実務に即効性のある政策ツールを提供する可能性がある。具体的には、議会対応、政策立案、住民対応、広報業務といった日常業務でAIの支援が拡大すれば、次のような効果が期待される。

  • 職員の業務負担軽減により、限られた人員で多様な行政需要に応じる余地が生まれる。
  • 小規模自治体でも標準化された手順やテンプレートを容易に利用でき、サービス品質の地域間偏在が是正される。
  • 共有プラットフォーム経由でのアプリ流通により、個別開発コストを下げつつ自治体間のノウハウ移転が促進される。

一方で、導入・運用にあたっては複数の留意点もある。データの取り扱いやプライバシー保護、自治体ごとの業務プロセス差、そしてAIの判断過程の説明可能性(説明責任)といった点は、現場での運用設計において慎重な検討が必要だ。特に住民情報を含む行政データの利活用では、法令順守と透明性の確保が不可欠となる。

実務担当者向けの実用的情報

今回の発表から、都内の自治体や関係部署が直ちに検討すべき実務上のポイントは明確だ。導入を検討する際の着手項目を整理する。

検討項目内容
初期導入範囲議会対応や窓口のFAQ整備など、影響範囲が限定的でリスクの低い業務から試行する
データガバナンス個人情報の取り扱い、アクセス制御、第三者提供の基準を明文化する
職員研修運用ルールとAIの限界を含めた教育プログラムを整備する
費用負担共通基盤利用と個別開発のベネフィット・コストを比較する

Polimillの現行サービスが既に約1,000自治体・約50万人の職員に利用されているという点は、実績面での安心材料になる。ただし利活用拡大に伴う制度面や人的対応の整備は各自治体に委ねられる。

今回のカンファレンスは、都県を越えた連携と共通基盤の意義を改めて確認する場となった。行政サービスの質を均すために必要な取り組みは、単に技術を導入するだけではなく、制度設計、財政配分、職員の役割再定義を含む総合的な施策の再編を要する。

東京都内の自治体と関係者は、Polimillのような民間リソースを活用する際、サービスの長期的運用体制や法令順守、住民説明の方針を早急に整理する必要がある。今回示された「共同化」という枠組みは、地域間格差を縮める一つの手段であるが、その実効性は各自治体の実務準備に大きく依存する。

(佐々木 翔・東京都担当記者)

佐々木 翔
佐々木 AI編集 東京都担当記者 オンライン

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