製造現場の課題に即応する5つの実装型ソリューションを出展
株式会社KDDIテクノロジーは、2026年9月9日から11日に幕張メッセで開催される「第5回スマート工場EXPO(秋)」に出展し、製造業における現場課題の解決を目指す5つのソリューションを実機デモで紹介する。出展の狙いは、人手不足や技能継承、品質管理、設備保全といった現場の喫緊の問題に対し、AIやAR/VR(XR)、デジタルツイン、フィジカルAIといった技術を組み合わせて即戦力となる形で提示する点にある。
同社は会場を通じて、単なる概念実証(PoC)ではなく、現場導入を見据えた使いやすさやコスト面での現実性を示すことを強調している。展示はホール3、ブース番号A14-51で行われ、来場者はデモを通じて導入後の運用イメージを掴める構成になっている。
展示する主なソリューション
- MiraLens:少数の良品画像から学習し、外観検査を効率化するAIソリューション。現場で精度調整が可能なUIを備える。
- DataMesh(DataMesh FactVerse活用):工場や倉庫を3Dで再現するデジタルツイン。リアルタイムデータと連携して可視化・分析を行う。
- VistaFinder MxおよびスマートARドキュメント:ARとスマートグラスを用いた遠隔支援と作業ドキュメントのAR化による作業支援。
- フィジカルAIコントローラー:本展示で新たに公開する自動化支援ソリューションで、クラウド活用により導入コストを抑える点を特徴とする。
これらはそれぞれ単独での提供だけでなく、連携させることで効果を高める設計となっている。たとえば、デジタルツイン上で設備の動作検証を行い、その結果をもとにAI検査の閾値調整やARを通じた作業者教育へとつなげるといった運用が考えられる。
導入効果と現場運用の現実性
近年、製造現場では慢性的な人手不足と技能継承の負荷が深刻化しており、設備のダウンタイム低減や良品率向上が直接的な経営課題となっている。こうした状況を踏まえ、今回提示される技術群は次のような効果を目指している。
- 検査業務の属人化解消と歩留まり改善
- 遠隔支援による保守・教育の効率化
- 3Dシミュレーションによる事前検証でライン変更や設備導入のリスク低減
会場でのデモンストレーションは実装を前提としている点が重要だ。特にMiraLensは少数枚の良品画像から学習可能とされ、現場での学習・調整が容易なUIを備えているため、モデル構築のための専門技術者を多数必要としない点が強調されている。
| ソリューション | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| MiraLens | 外観検査 | 少数ショット学習、現場での調整可能 |
| DataMesh | デジタルツイン | ノーコード構築、Omniverse連携 |
| VistaFinder Mx / ARドキュメント | 遠隔支援・作業支援 | 低遅延映像伝送、複数デバイス対応 |
| フィジカルAIコントローラー | 自動化・省人化 | クラウドベースでコスト抑制、コントロールソフト搭載 |
導入に当たっての留意点と今後の展望
現場における新技術の導入には、技術的側面だけでなく運用設計や人材育成、既存設備との連携といった実務上の課題が伴う。KDDIテクノロジー側は展示を通じて「使える状態」にまで落とし込むことを意図しており、来場者が実際の運用イメージを得られることを重視している。
また、クラウドを活用した提供形態は初期投資を抑える一方で、通信の安定性やデータ運用のルール策定が重要となる。特に生産ラインの連続稼働に関わるシステムでは、ネットワーク遅延やセキュリティ対策が導入可否を左右する要素となる。
今回の出展は、製造業のデジタル化を後押しする試金石とも言える。展示で提示される各技術が実際の導入例や効果測定と結び付くことで、国内企業の設備投資判断や業務改革の加速につながる可能性がある。
会期は9月9日から11日、時間は10時から17時。関係者は同社ブースでデモを確認し、現場への適用可能性を検討する機会を持てる。
(取材・文:全国編集部 テクノロジー担当)