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AIで行動提案、徳島東部で観光周遊実証を開始

AI旅行アプリを使った徳島県東部の観光周遊実証が10月30日に始まる。公共交通時刻を考慮したルート提案やデジタルスタンプラリーで滞在促進とデータ蓄積を図る試みだ。

AIで行動提案、徳島東部で観光周遊実証を開始
©イラスト AI生成 :遠藤 望/プレスリリースジェーピー

デジタルで“もう一か所”を提案、滞在時間と消費拡大を狙う実証

徳島県東部の観光周遊を促進する実証事業が、AI旅行計画アプリ「ぷらる」を用いて10月30日から始まる。県と一般社団法人イーストとくしま観光推進機構、そして民間ベンチャーの株式会社Plaruが連携し、徳島市・鳴門市・松茂町を重点地域に、東部15市町村を対象にした取り組みだ。期間は2026年10月30日から2027年2月28日までで、実証は準備・開発・分析を含めて2026年8月から2027年3月を予定している。

この実証の柱は、公共交通の時刻表を考慮したAIルート提案と、アプリを介した観光データの収集・分析だ。従来の観光情報はパンフレットやウェブ、SNSに分散しており、訪問先の組み合わせや移動手段を短時間で決めることが難しいとされる。今回の実証は、利用者の出発地・到着地・滞在可能時間・興味関心を入力すると、複数スポットを組み合わせた移動計画を提示し、行動につなげる点が特徴である。

観光事業者や自治体が期待するのは、観光客が「提案された行程」を実際の行動に移すことで、滞在時間の延長や飲食・体験・小売の利用が増えることだ。アプリ内で実施する「徳島東部スタンプラリー」では、対象スポットを3か所以上巡ることで景品抽選に応募可能となり、6か所で当選率が2倍になる仕組みを用意している。景品はイオン商品券5,000円×30名分が準備されており、参加は無料だ。

「限られた時間で、ほかにどこを楽しめるかという行き先の発見と、その巡り方を一緒に提案する」

この言葉にあるように、単に出発地と目的地を結ぶ経路検索にとどまらず、滞在可能な時間内で追加で楽しめる場所を提示する点が実証の狙いだ。空港や駅といった交通拠点からの短時間の時間帯利用、例えば「帰りの飛行機まで3時間ある」ようなケースでも、文化施設や飲食店を組み合わせた具体的な案が提示されることを目指す。

実証では、利用ログ、位置情報、アンケートを組み合わせて、提案から実訪問に至った割合や利用者の満足度を検証する。集めたデータは地域の発信改善や周遊ルートの設計、さらには交通施策の検討に活用される予定だ。これにより、単発のイベント的な集客に終わらせず、長期的な施策につながるデータ基盤を整備する意図がある。

以下は今回の主要項目の要約だ。

  • 実証期間:2026年10月30日〜2027年2月28日(実証全体は2026年8月〜2027年3月予定)
  • 対象地域:徳島県東部の15市町村(重点:徳島市・鳴門市・松茂町)
  • 参加方法:スマートフォンに「ぷらる」をダウンロード、位置情報でデジタルスタンプを取得

実際の運用面では、公共交通の時刻表データを正確に組み込むこと、バスや鉄道の運行間隔が長い時間帯で無理のない行程を提示できるかが課題となる。観光地を結ぶ道路の所要時間は自家用車と公共交通で大きく異なるため、公共交通利用者向けの代替案提示や、徒歩での移動が発生するスポット間の案内精度も重要だ。

地域側の期待は、次のように整理できる。

期待される効果具体的な中身
滞在延長短時間の余剰時間に観光スポットを提案し、空白時間を消費につなげる
分散化と回遊促進重点観光地以外への誘導で地域全体の消費を広げる
政策・施策のデータ化実訪問データを基にした交通・観光施策の改善

一方で留意点もある。位置情報や行動履歴を扱うため、プライバシー保護とデータ連携の透明性が不可欠だ。事業者は収集したデータの匿名化や利用目的の明示など、利用者に安心感を与える運用を求められる。加えて、アプリの利便性は高齢者やスマートフォンに不慣れな層にも影響を与える可能性があり、デジタルデバイドへの配慮も必要だ。

県内の中小事業者にとっては、来訪者の増加が短期的には追い風となるが、受け入れ体制の整備も課題となる。例えば飲食店や体験施設では、突発的な利用増に対応できる人員や決済手段の整備、営業時間や受け入れ可能人数の可視化が求められる。行政や観光推進機構は、実証の成果を踏まえて地元事業者への周知・支援策を打つ必要があるだろう。

実証の結果は、利用者層別の回遊傾向、提案から実訪問に至る転換率、さらには訪問先での消費行動など多面的に分析される予定だ。成果が一定の効果を示せば、今回のモデルを基にした他地域への展開や、公共交通と観光情報の恒常的なデータ連携基盤の構築につながる可能性がある。徳島東部の観光地がAIを活用した行動提案でどのように変わるか、地域の現場での運用手応えが今後の鍵を握る。

(遠藤 望)

遠藤 望
遠藤 AI編集 徳島県担当記者 オンライン

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