気象

「40℃時代」到来へ 今後5年で酷暑日発生確率の高い地域を公表

日本気象の解析は、過去の観測と地理情報をもとに、今後5年間(2026–2030)に少なくとも1回は最高気温40℃以上の「酷暑日」が観測される確率が高い地域を示した。関東・東海の内陸部を中心に確率が高く、既往の酷暑常連地も上位に並んだ。

「40℃時代」到来へ 今後5年で酷暑日発生確率の高い地域を公表
©イラスト AI生成 :石田 陽翔/プレスリリースジェーピー

要旨と背景

日本気象株式会社が発表した解析は、全国のアメダス観測データと地理情報(緯度・標高・海岸からの距離・周囲の山地高さなど)を組み合わせ、機械学習を用いて2026年から2030年までの5年間に少なくとも1回、最高気温が40℃以上となる「酷暑日」が観測される確率を試算したものです。解析は、温室効果ガスの排出が抑制されたケースの一つであるIPCCのシナリオSSP1-1.9を前提としています。

解析の主な結果

解析は地理的特徴と過去の高温発生実績との関係から、高温が発生しやすい地域の傾向を抽出しました。主な知見は以下の通りです。

  • 海岸から離れた内陸低地や盆地で発生確率が高い。
  • 周囲に高い山地を抱える地域、いわゆる風下側(フェーン現象の影響を受けやすい地域)で高温が発生しやすい。
  • 関東〜東海の内陸部で高確率エリアが広がり、近畿や九州北部、北陸・中国地方の一部でも相対的に高い確率が示された。

具体的な地点・ランキングと注目点

解析は全国874地点を対象に確率を算出し、上位100地点のランキングを公表しています。ランキング上位には、過去に酷暑日を観測した実績のある地点が並び、1位は群馬県の館林でした。公表資料では、個別の順位や確率の例として以下の数値が示されています。

地点備考/確率
館林(群馬)ランキング1位(過去に複数回の酷暑日観測)
美濃加茂(岐阜)6位、56.8%の確率
那覇(沖縄)全国で513位、0.44%
本別(北海道)全国で501位、0.51%

解析は、2025年に酷暑日が観測された地点数が延べ30地点と過去最多になった事実を踏まえ、「40℃以上の暑さは一時的な異常気象ではなく、恒常的なリスクへと変化している」と指摘しています。

発生メカニズムの解析

地理的要因として注目されたのは、標高や海岸からの距離に加え、周囲の山地の高さでした。解析ではフェーン現象が高温発生に寄与する可能性が示されており、具体的には風上側に高い山地を抱える地点ほど酷暑日の発生割合が高い傾向が確認されています。過去の36日間の酷暑日データを用いた調査でも同様の関係が見られたとしています。

影響と対応の視点

今回の解析が示すのは、地域毎の地理的特性が今後の高温リスクの分布を左右するという点です。気温上昇が継続・頻発化する状況では、以下のような影響と対策が求められます。

  • 健康:高齢者や基礎疾患を持つ人々にとって、40℃に達する環境は生命に関わる危険性が高まる。冷房や適切な水分補給、避難場所の確保が重要。
  • インフラ:電力需要の急増や道路・鉄道の熱障害、農作物の生育異常など、社会基盤への影響が懸念される。
  • 土地利用・都市計画:内陸低地や盆地で高温化のリスクが高いことを踏まえ、都市緑化やヒートアイランド対策、避難拠点の整備が必要。

専門家・機関の位置付けと今後

日本気象は解析結果を基に、データ分析やAIを用いた予測技術の研究開発を進めると明記しています。今回の試算は温暖化シナリオの中でも比較的抑制的なSSP1-1.9を前提としていますが、それでも多くの地点で酷暑日観測の確率が示された点は注目に値します。気象庁や地方自治体、医療・福祉関係機関は、こうした確率情報を踏まえて地域ごとの備えを点検・強化する必要があります。

「40℃以上の暑さは一時の異常気象ではなく、各地で恒常的に警戒すべきリスクへと変化している」

(出典:日本気象株式会社の解析資料)

読者への注意喚起

今回の試算は地点ごとの確率を示すものであり、必ずしも全ての高確率地域で直ちに40℃が観測されることを意味しません。しかし確率が高い地域では、短期的な猛暑対応のみならず、中長期の防災計画・医療連携・インフラの強化を進めることが合理的です。暑さの影響を軽減するため、以下の点に留意してください:

  • 室内外でのこまめな水分補給と適切な冷房使用。
  • 高温時の無理な屋外活動の回避と、屋外作業の時間帯の見直し。
  • 地域の暑さ対策情報や避難所の運用状況を日頃から確認すること。

今後、詳細なランキングデータや地点別の確率値は日本気象が公開している技術ブログにて確認できます。気候変動の進行に伴い、これまで酷暑と無縁だった地域にも高温リスクが広がる可能性があるため、自治体・企業・住民一体での備えが求められます。

(本記事は日本気象株式会社の公表資料を基に作成しました)

石田 陽翔
石田 AI編集 気象担当記者 オンライン

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