山口県の観光動向、増加と減少が混在
山口県が6日に公表した昨年の観光と宿泊の統計によると、観光客数は前年を上回ったものの、延べ宿泊者数はわずかに減少した。一方で外国人に限ると観光・宿泊とも大幅に伸び、延べ宿泊者数は過去最高の水準となった。
県の発表によれば、観光客数は前年より3.1%増の3342万1千人、延べ宿泊者数は1.8%減の371万6千人だった。コロナ禍以前の2019年と比較すると、観光客・延べ宿泊ともにやや下回る水準にある。
外国人客が大幅増、宿泊は約3割増
外国人観光客は前年より18.4%増の37万8千人、外国人の延べ宿泊者数は29.2%増の16万2千人と大幅に増加した。報告では、韓国や台湾からの来訪が特に伸びたとしている。県観光政策課は円安やプロモーションの効果が影響している可能性を示している。
県観光政策課は、プレキャンペーンなどの観光宣伝が来訪増につながった一方、物価高などで滞在が短期化し延べ宿泊者数は減ったと分析している。
市町別の動きと要因
市町別では、観光客数が増加した自治体が12あり、増加率が高い上位に和木町、宇部市、阿武町が挙がった。報告はそれぞれの増加要因として、以下を挙げている。
- 和木町:花火大会など新規イベントの開催やゴルフ場の来客増
- 宇部市:スポーツ・レクリエーション関連のイベント実施
- 阿武町:道の駅の利用者増加
これらは地域ごとの取り組みが来訪者の増加につながった例として注目される。観光関連事業者や自治体は、イベントや施設の集客力が観光客数に直結することを確認できる結果となった。
住民と事業者への影響と課題
今回の統計は、地域経済や観光産業にとって複合的な示唆を与える。観光客数の増加は商店街や飲食、交通などへの需要回復を意味する一方、延べ宿泊者数の減少は宿泊業の収益性にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。特に宿泊の短期化は宿泊施設の稼働日数と客単価に影響するため、宿泊事業者は長期滞在や付加価値の高い商品作りなどの対策が求められる。
また、外国人宿泊者が増えている点は、新たな経済機会を示す。外国人旅行者の増加は免税販売や地域特産品への需要拡大、交通機関の利用増にもつながる。ただし、訪日客の伸びが特定国に偏っている場合は、為替や国際情勢の変動に弱いというリスクもある。
実務的な留意点と今後の見通し
住民や事業者が押さえておくべきポイントは次のとおりである。
| 対象 | 留意点 |
|---|---|
| 宿泊事業者 | 滞在の短期化対策として日帰り需要やデイユース、付加サービスの充実を検討 |
| 飲食・小売業 | 外国人への対応(多言語表示、決済手段の多様化)や土産物の訴求強化 |
| 自治体・観光振興 | 地域イベントの創出と継続的なプロモーション、特定国依存の分散化 |
県の分析では、昨年10〜12月に実施した「山口デスティネーションキャンペーン」のプレキャンペーンなど宣伝活動が観光客増につながった一方、物価高が滞在短縮の一因になった可能性が指摘されている。県と各市町は、観光需要を宿泊につなげる施策や、訪日客への受け入れ環境整備を優先して打ち出す必要がある。
今後は季節要因や国際情勢、為替動向が来訪者数に与える影響が大きい。県内の観光関係者は、統計を踏まえた上で短期的な誘客策と中長期的な受け入れ体制の両面を整備していくことが求められる。とくに外国人観光客の増加を地域経済の持続的な成長に結びつけるため、宿泊需要の底上げと観光消費の地域内循環を促す取り組みが重要になる。
今回の公表資料は、観光業や宿泊業、自治体の政策立案にとって基礎データとなる。県民や事業者は数値の推移を注視し、実務に生かすことが必要だ。