静岡市の実績と手法を改めて検証
参議院議員山田太郎氏の報告によると、静岡市は全国でも上位に位置する高い里親委託率を示しており、その要因として市内で進められてきた里親同士の支え合い(ピアサポート)や里親会による交流重視の取り組みが挙げられています。政府全体の目標として里親委託率75%が掲げられるなか、静岡市の事例は他自治体にとっての先進事例とされています。
取り組みの中身――「ラポールトーク」とコミュニティづくり
報告では、静岡市里親会が従来の事実伝達中心の「レポートトーク」から、感情や共感を重視する「ラポールトーク」に意識的に転換した点が強調されています。この会話手法の導入により、里親同士が悩みや不安を表出しやすくなり、孤立を防ぐ効果が出ているとされています。
- 先輩里親による体験共有や親睦活動を通じた信頼関係の醸成
- 里父の参加促進や会員入会率の上昇
- 問題が生じた際に支援センターや児童相談所へつなぎやすくなる体制づくり
数値が示す全国との格差
報告には全国の里親委託率についての比較データも示されています。令和5年度末時点の全国平均は25.1%であるのに対し、自治体間の差は大きく、最高の新潟市は60.2%、最低の葛飾区は11.1%と報告されています。また、海外では英国約70%、米国約80%、オーストラリア約90%といった数値が紹介され、日本が国際的に見て低水準にある点も指摘されています。
| 指標 | 数値(報告) |
|---|---|
| 全国平均(令和5年度末) | 25.1% |
| 新潟市(最高) | 60.2% |
| 葛飾区(最低) | 11.1% |
静岡市の実績が示す意義と住民への影響
静岡市の取り組みは、里親制度利用のハードルを下げ、家庭的な環境での養育を促進するという国の方針に合致します。ピアサポートにより里親が支援を受けやすくなることで、以下のような住民への具体的な影響が期待されます。
- 里親の精神的負担の軽減と離脱抑制により、地域での安定した養育環境が確保される
- 里親制度の周知と参加促進により、児童相談所に頼らず家庭で育てる選択肢が拡大する
- 地域コミュニティの連携強化で、養育不調の早期発見と対処につながる
課題と他自治体への示唆
一方で、報告は静岡市の成功例を踏まえつつも、全国的には依然として里親委託率の格差が大きいことを問題視しています。提示された課題には、里親に対する継続的な支援体制の充実や、地域ごとの文化・制度差に応じた取り組みの調整が含まれます。静岡市の経験が単にモデルの提示で終わらず、他自治体で再現可能な形で制度化されることが重要です。
「里親同士のつながりを深める『ラポールトーク』を重視し、交流と親睦を中心に据えることで、里親の孤立防止と支援につながった」と報告はまとめています。
静岡市の手法は、地域の実情に即した人的ネットワークの強化による解決策として注目されますが、今後は以下の点が焦点になります。行政による制度的支援の継続、支援資源の地域間配分、そして里親を受け入れる地域社会の理解促進です。住民としては、行政の説明会や里親会の公開イベントなどの情報に注目し、地域での支援の輪にどう参加できるかを考えることが求められます。
(取材・森 千尋)