下関と北九州市が観光連携を強化へ
山口県下関市の前田晋太郎市長と北九州市の武内和久市長は9日、下関市内の春帆楼で会談し、関門海峡を舞台に両市が連携して観光プロモーションを強化することで合意した。会談では両市による共同スローガン「関門クロスビジット~両市で起こす、にぎわいの波」を掲げ、滞在時間の長時間化やブランド統一を目指す方針が確認された。
会談では、星野リゾートが運営するホテルの相次ぐ開業を背景とした観光の追い風を生かす議論が交わされた。星野リゾートは昨年12月に下関でホテルを開業し、今月下旬に北九州・門司港レトロ地区での開業を控えている。この流れを踏まえ、関門エリア全体の魅力を発信するために「関門海峡サミット(仮称)」を2027年度に開催する方向で一致した。
サミットの狙いと具体案
武内市長からの提案を受け、サミットは行政関係者に加え、観光、郷土史の関係者、大学生を含めた市民も交えて関門エリアの将来像を議論する場とする計画だ。会議の主なテーマとしては巌流島の活用や夜間観光の魅力向上などが挙げられている。両市は観光資源を単に寄せ集めるのではなく、訪問者が両市を連続して訪れる仕組みづくりを目指すとしている。
- 新スローガン:「関門クロスビジット~両市で起こす、にぎわいの波」
- 来年度(2027年度)開催予定:「関門海峡サミット(仮称)」
- 具体施策:みなとオアシス構成施設を巡る関門周遊スタンプラリーなど
また、北九州市が掲げる「すしの都 北九州」との連携も打ち出された。北九州市が昨年6月に富山県とJR西日本と協力して開始した「すしのゴールデンルート」の取り組みを下関市も連携して広げ、海産物や寿司を観光コンテンツとして両市で協働することが示された。
地域への影響と住民への利点
今回の合意は、下関にとって複数の具体的な影響をもたらす可能性がある。まず、観光需要の増加による飲食業や宿泊業への波及効果が期待されることだ。星野リゾートをはじめ民間の施設開業が続く中で、来訪者を両市に跨いで滞在させる仕組みが実現すれば、観光消費の地域内循環が深まる。
次に、滞在時間が延びることで交通・案内・案内表示、夜間のサービス提供など地域インフラや雇用の在り方にも変化が出る。夜間観光の魅力向上が方針にあることから、飲食店や文化施設、夜間運行を含む交通サービスの検討が必要になる可能性がある。地域住民にはイベント開催時の交通混雑や一時的な賑わい増加が見込まれる一方、事業の継続的な実施が図られれば恒常的な雇用機会増加が期待できる。
教育分野でも連携が想定されている。会談では受験生を支援する学習スペース確保など教育分野の連携事業を進める意向が示された。地域住民にとっては観光振興だけでなく、生活利便や学びの面でのメリットが見込まれる点が注目される。
今後の課題と見通し
両市は会談後、国交省が登録する「みなとオアシス」の構成施設を巡るスタンプラリー開催など具体策を打ち出したが、長期的な連携を実効あるものにするにはいくつかの課題が残る。例えば、両市をまたぐ観光客の移動手段の利便性向上、夜間観光を支える安全対策や交通確保、文化資源や景観保全との両立、そして住民合意の形成が挙げられる。
前田市長は会談後、「もともとポテンシャルがすごいエリアだが、追い風がさらに強いものになっていくと体感できる会談だった」と述べ、武内市長も「両市をクロスして訪問してもらえる関門海峡をつくっていく」と表明している。会談は両市長の間で再開されて以降毎年交互に開催されており、今回が17回目となる。
「観光資源の寄せ集めではなく、両市をクロスして訪問してもらえる関門海峡をつくっていく」— 武内和久・北九州市長
| 項目 | 内容(会談で示された事項) |
|---|---|
| スローガン | 関門クロスビジット~両市で起こす、にぎわいの波 |
| サミット | 関門海峡サミット(仮称)を2027年度に開催予定 |
| 具体施策例 | 巌流島の活用、夜間観光の魅力向上、関門周遊スタンプラリー |
今回の合意は下関と北九州が一体となって関門海峡エリアの魅力を高める第一歩となる。今後は関係者間で具体的なスケジュールや予算、実施体制が詰められていく見込みであり、住民への情報提供や意見の集約も重要になってくる。観光関係者や市民は、開催に向けた動きに注目するとともに、地域の利便性や安全面の整備状況を注視する必要がある。