県知事に受賞報告、地域観光と雇用の底上げへ
大分県別府市を拠点に宿泊事業を展開する株式会社SEKIYA RESORTは、経済産業省・中小企業庁が選ぶ「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定されたことを受け、2026年6月22日に佐藤樹一郎知事を県庁で表敬訪問し、選定の報告と今後の取り組みを協議した。選出の分野は「人への投資・環境整備」であり、従業員の育成や職場環境の改善が評価されたとしている。
SEKIYA RESORTは別府で120年以上の歴史に根ざす宿泊事業を基盤に、複数の宿泊施設を運営しており、今回の受賞は地域の観光産業や雇用環境に与える影響が注目される。表敬訪問では、受賞に至った背景説明に加え、観光を通じた地域振興や今後の事業展開に関する意見交換が行われた。
「旅で世界とヒトを明るくする」
この理念を掲げる同社は、採用で理念への共感を重視することや、自己申告制の昇任制度を導入するなど、社員一人ひとりが成長できる職場づくりに力を入れていることが選定理由として挙げられている。人材育成や働きがいの向上を図る取り組みは、観光業界が抱える人手不足対策や地域サービスの質向上に直結するため、地元経済への波及効果が期待される。
地域にもたらす効果と課題
今回の表彰は、地域資源である温泉や宿泊施設の価値を高める好機となる。受賞企業が提示する改善手法や人材施策が他の事業者にも広がれば、サービスの底上げや滞在客の満足度向上につながる可能性がある。一方で、観光集客や人材確保には業界全体での連携や公的支援の活用が不可欠だ。県や市と連携した研修、雇用環境改善のための補助や助成をどう活用していくかが今後の焦点となる。
具体的には次の点が地域にとって重要だ。
- 雇用の質の向上:昇進制度や研修を通じた職能開発で離職率を下げ、安定した人員確保を図る。
- 観光価値の向上:施設ごとの特色を磨き、滞在型観光やリピーター増加を目指す。
- 行政との連携強化:地域振興策や観光プロモーションでの協働を拡大する。
運営施設と評価実績
SEKIYA RESORTは別府市内で複数の宿泊施設を運営しており、各施設が異なるコンセプトで運営されている点が特徴だ。広報資料によれば、国内外のデザイン賞受賞や宿泊業の大会での評価実績も保持している。これらの受賞歴は地域のブランド向上に寄与するとみられる。
| 施設名 | 特徴 |
|---|---|
| 別邸はる樹 | デザイナーズ旅館としての位置づけ |
| テラス御堂原 | 宿泊業のコンペでの高評価を得た施設 |
| GALLERIA MIDOBARU | デザイン賞を受賞した施設 |
これら3つの施設は、それぞれ異なる顧客層を引きつけられることから、地域内での顧客分散や滞在延長に寄与する可能性がある。特に訪日外国人やデザイン志向の高い層など、多様なニーズに対応できる点が地域観光の競争力強化につながる。
住民・事業者への実務的な影響
地元で働く人々や関連事業者にとって、今回の選定は下記のような具体的影響をもたらす:
- 採用活動での応募増加と人材の質向上が期待されるため、求人負担の軽減につながる可能性がある。
- 施設の評価向上は観光需要の拡大につながり、飲食・交通・土産品など地元関連産業への波及効果が見込まれる。
- 職場環境改善の事例が共有されれば、中小事業者全体の働き方改革推進につながる。
ただし受賞のみで自動的に地域全体が改善するわけではない。個別事業者の成功事例をどのように行政や商工団体が横展開するかが重要だ。県は中小企業支援や観光振興での実効的な支援策の提示が求められる。
表敬訪問を行った同社は、受賞を節目とし、地域との連携をさらに深める意向を示している。今後は具体的な共同プロジェクトや研修の実施、観光プロモーションでの協働など、実務に落とし込む動きが注目される。
地域にとって望ましいのは、受賞企業の取り組みが一過性の広報材料にとどまらず、持続的な人材育成と訪問客の増加につながることだ。そのためには、行政・観光関連団体・地元事業者の三者が情報と資源を共有し、現場レベルで実行可能な支援を組み立てていくことが不可欠である。
今回の報告は、別府の観光産業が人材面での投資を深化させつつ、地域ブランドを高める試みとして位置づけられる。今後の取り組みがどの程度広がり、地域経済に持続的な効果をもたらすかを見守りたい。