活断層のリスクを再確認――大分で想定される被害の規模
7月に発生した令和8年熊本地震で示されたように、活断層のずれは広域かつ甚大な被害をもたらす。隣県の熊本での震災を受け、大分県内に存在する主要な活断層の一つである中央構造線断層帯に関する被害想定が注目されている。報告によれば、中央構造線断層帯で地震が発生した場合、由布市、別府市、大分市などでは最大震度7の激しい揺れが発生すると見込まれ、最悪ケースでは死者が約3万人、建物の全壊・焼失が約8万8400棟に達するという。
大分地方気象台の防災担当は、今回の熊本地震の揺れと同規模の強い揺れが大分側でも想定されると指摘している。特に中央構造線断層帯は震源が浅い点が懸念材料であり、震源が浅いほど震央付近での揺れが大きくなるため、被害が拡大しやすい。
「震源が浅いのでそれだけ距離が近いということで大きな揺れになるという風に考えられる」
県内の主な活断層と発生確率
大分県内で指摘されている主な活断層は以下の四つだ。
- 中央構造線断層帯(由布市〜別府市〜大分市〜別府湾海底へ延びる)
- 周防灘断層帯
- 日出生(ひじゅう)断層帯
- 万年山—崩平山断層帯
このうち、被害規模が最も大きいと想定されているのは中央構造線断層帯だ。ただし、発生確率に関しては断層ごとに差がある。国の地震調査研究推進本部によれば、周防灘断層帯の30年以内の発生確率は2%〜4%とされており、数値だけを見ると確率は低めに見えるものの、今回の熊本地震を引き起こした日奈久断層帯と同程度の評価ランクである点は無視できない。
地域住民への影響と備えのポイント
最大震度7クラスの揺れが想定される地域では、以下の点が住民の安全に直結する。
- 耐震性の低い住宅や老朽建築物の多い地域では倒壊リスクが高まる。
- 避難経路や避難所の整備・周知が不足していると、人的被害が拡大する恐れがある。
- 津波が懸念される沿岸部では海抜や避難所の高さを確認する必要がある(中央構造線が別府湾に接する点から海域への影響も想定される)。
実務的な備えとして、自治体と住民それぞれに求められる行動は次の通りだ。
| 主体 | 具体的な対策 |
|---|---|
| 自治体 | 避難所の耐震化・運営計画の見直し、迅速な情報伝達手段の確保、被害想定に基づく地域別の避難計画作成 |
| 住民 | 家具の固定、非常持出袋の準備(飲料・食料・医薬品)、家族の安否確認方法と避難場所の確認 |
今後の課題と取るべき対応
中央構造線断層帯での地震発生が現実化すれば、被害は局地的に極めて大きくなる。発生確率が必ずしも高く見えない断層でも、発生時の影響は甚大であるため、確率にのみ依存した対応は危険だ。行政には被害想定に基づく継続的な対策の実施と、地域住民に対する分かりやすい周知・訓練の実施が求められる。
報道にある想定数値は最悪ケースの試算であり、全ての事象が同時に起きるわけではないが、想定されうる最大規模を基に備えることが命を守る上で重要だ。大分県内の市町村は、自らの自治体が想定の影響範囲に含まれているかを確認し、防災マップやハザード情報の最新化、住民向けの情報提供を一層進める必要がある。
(取材・執筆:松田 理恵)