県全体で地場産食材の利用が増加
茨城県の学校給食で使用された食材のうち、2025年度実績で地場産物が県平均の78.4%を占めたことが、県教育委員会の集計で明らかになった。前年からおよそ10ポイントの伸びとなり、特に県立学校の伸長が全体を押し上げた。
県立学校はほぼ倍増の水準に
県教委の調査では、県立学校の地場産活用率が前年度の48.9%から97.2%に急増した。調査は昨年11月17日から21日の期間内で4日分を対象に実施され、全44市町村のうち外部委託で給食を賄う五霞町を除く43市町村と、自校調理場を持つ特別支援学校、定時制高校、計26校の県立校が対象となった。
| 区分 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|
| 県立学校平均 | 48.9% | 97.2% |
| 市町村平均 | 70%台前半(過去5年) | 74.7%(2025年度) |
| 県全体平均 | (─) | 78.4% |
地域別の状況と県の取り組み
市町村別では、大洗町が97.2%で最も高く、次いで笠間市93.7%、阿見町92.7%と続いた。県は地産地消の啓発策として、毎月第3日曜日を「茨城をたべようDay」と定め、その週を周知期間にして県産品の魅力を発信している。教育委員会はさらに、11月を中心とした強化月間に健康教育や食育指導を充実させる方針だ。
県教委は、県内の生産者団体と連携して県立校への食材供給を促進したことを伸びの要因に挙げている。具体的にはJA県中央会に対する提供依頼などを行い、安定した流通ルートの確保に努めたという。
「県内にはおいしい食材がたくさんある。年間を通じて活用割合をさらに高めたい」
背景:国と県の方針と産地の強み
国は「第5次食育推進基本計画」で地場産物の安定供給や食育の拡充を重要課題に位置づけている。茨城県は米、乳製品、野菜、卵、魚介類などで全国有数の生産量を誇り、米に関しては年間を通して学校給食を県内産で賄っている点が、地場産率を押し上げる基盤となっている。
住民・保護者への影響と現場の利点・課題
地元食材の活用増は、子どもたちの食育に資するだけでなく、地域農林水産業の販路確保や地元消費の促進につながる。一方で、季節変動や供給量の偏り、物流・保管の課題、調理現場の人手と衛生管理など、実務的な対応が必要な点も残る。
- 給食で使用する食材の産地情報が明確になることで、保護者の安心感が高まる。
- 地元事業者にとっては新たな安定需要の確保となる一方、供給体制の強化が不可欠。
- 学校側は調理や献立作成で季節性に配慮した計画を求められる。
今後の展望と実務的なポイント
県教委は調査結果を踏まえ、さらに地産地消を推し進めると明言している。実効性を高めるためには、以下の点が鍵となる。
- 生産者と学校現場、給食センター間の連携強化と情報共有。
- 安定供給に向けた契約栽培や加工品の導入で季節品の穴を埋める工夫。
- 調理人材の確保・研修や衛生管理体制の充実。
また、県は食育の一環として児童生徒が地元の生産現場を知る機会を増やすことも検討しており、学校と農家の交流や地元食材を使った授業が広がれば、消費者としての理解も深まる可能性がある。
結び:地域循環と持続可能性に向けて
県の調査は、地場産物の活用が教育現場と地域経済の双方に好影響を与える実例を示した。だが、数値的成果の一方で運用面の負担や供給の安定性といった課題も残る。今後は、学校給食を通じて地域資源の価値を日常的に伝え、持続可能な供給体制を築くことが不可欠だ。県教委や自治体、JA、学校現場が連携して実務的な仕組みを整備できるかが、次の展開を決めるだろう。
(茨城県担当記者 中村 智子)