市の基本イメージを公開
大津市は、市役所新庁舎の基本的なイメージをホームページで公表した。市が掲げる利用開始の目標は2032年度で、新庁舎は現行の本館・別館の解体に伴い機能を移す形で整備される。設計は佐藤武夫が創業した「佐藤総合計画」関西オフィス(大阪市)が担当しており、市民の意見を反映させながら進めるという。
規模と配置、デザインの方向性
市の公表資料によると、新庁舎は皇子山総合運動公園側の用地を活用し、敷地面積は約1万5,000平方メートル、地上6階建てとなる見込みだ。市役所機能は2階以上に集約され、1階はピロティ仕様で駐車場を想定している。現新館とは渡り廊下で接続され、3階に位置するスペースが現新館と結ばれる計画だ。
市民の交流機能を重視
設計の中心的な特徴は、2、3階の屋外部分に張り出す形で設けられるという「市民デッキ」だ。市はこのデッキを、気軽に集える平面スペースとして、来庁者だけでなく公園利用者やグラウンドの観戦者にも開かれた場所にする意図を示している。デッキの下は雨天時にも使える「市民ひろば」とし、食堂やカフェ、市民が学習に利用できるスペースを備える計画だ。
- 市民デッキ:2、3階の屋外張り出し
- 市民ひろば:デッキ下の雨天利用スペース
- 災害対応:グラウンドと連携した給水・物資受渡し、炊き出し拠点
防災・にぎわいの両立を目指す
市は、防災拠点としての機能も想定している。多目的グラウンドを活用し、災害時には給水や支援物資の受け渡しを行い、市民ひろばで炊き出しを行えるようにする計画だ。設計者側は「市庁舎には行政機能だけでなく市民の交流機能も必要だ」として、戦後の建築家・佐藤武夫が残した設計精神、いわゆる「武夫イズム」の継承につなげたいと説明している。
費用と工程、今後の手続き
公表資料には建設費の見込みとして約200億~245億円が示されている。スケジュール面では、今年度中に基本設計をまとめ、その後2027、2028両年度に工事発注に向けた詳細設計を作成する計画だ。市は市民約40人を対象にして、今秋までに新庁舎活用に関する協議を行う予定としている。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 目標利用開始 | 2032年度 |
| 敷地面積 | 約1万5,000平方メートル |
| 階数 | 6階建て(予定) |
| 想定事業費 | 約200億~245億円 |
文化財的側面と住民の関心
現庁舎の本館(1967年築)と別館(1971年築)は、佐藤武夫の戦後建築の代表作として国際学術組織から評価を受けてきた。市は老朽化を理由に解体を決めており、新庁舎計画は文化的遺産としての保存と、老朽建築の更新という相反する課題の折り合いをどうつけるかが地域の関心事となっている。
「市庁舎には、行政施設だけでなく市民の交流機能も必要だと考えた『武夫イズム』の継承につながれば」
設計事務所は、市民のアイデアを設計に反映させることを強調しており、選定委員会の審査で同社案が採用された経緯がある。ただし、具体的な保存・移築の方針や、現本館・別館に残る意匠・記録の取り扱いについては、今後の協議で詳細を詰める必要がある。
住民への影響と留意点
新庁舎計画は市民生活に直接関係する事項を多く含む。以下は注意すべき点である。
- 工事期間中の庁舎機能の移転・窓口運営方法に関する情報提供
- 建設費が市の財政に与える影響や、事業費の最終確定に向けた透明な説明
- 現庁舎の解体に伴う文化保存・記録の扱いとその公開方法
市はこれから住民協議を経て設計を固める方針だ。住民の意見が計画に反映されるかどうかが、新庁舎を地域の資産とするための鍵となる。市は今後、協議会や説明会の開催スケジュールなどを順次公表するとしている。
(阿部 竜也)