誤入力で2023年度の県内総生産が上方修正
岡山県は4日、県民経済計算の算定で誤りが判明したとして、直近の2023年度分の県内総生産(県版GDP、実質)を8兆77億円から約3千億円増の8兆3085億円に上方修正したと発表した。算定に用いる経済センサスの一部数値が誤って入力されていたのが原因で、精査の結果、修正は過去7年分に及んだという。
県の発表によれば、誤入力は経済センサスの「専門・科学技術、業務支援サービス業」に関する従業者数で、正しい数値が2万9747人であるところを誤って94人と入力してしまった。これが21年度分の算定時に生じ、以後の22、23年度分でも踏襲されたため、当該業種の経済規模が過少評価され続けていた。
「多大な迷惑をかけて深くおわびする。入力データを複数の職員で確認するなど再発防止策を徹底したい」
県庁での会見で、統計担当の課長が陳謝したと報告されている。県は修正箇所をホームページで公開している。
修正で示された主な数値の変化
| 項目 | 旧数値 | 修正後 |
|---|---|---|
| 2023年度 県内総生産(実質) | 8兆877億円 | 8兆3085億円 |
| 2023年度 経済成長率 | 2.8%増 | 3.3%増 |
| 2023年度 1人当たり県民所得 | 288万7千円 | 303万4千円 |
| 2022年度 県内総生産(実質) | 7兆7928億円 | 8兆459億円 |
| 2022年度 1人当たり県民所得 | 250万9千円 | 263万5千円 |
地域への影響とポイント
今回の修正は単なる統計上の調整にとどまらず、自治体行政や産業振興、投資判断、県の対外的な評価に関わる重要な問題を含む。具体的には次の点が地域住民や事業者にとって重要だ。
- 県内総生産や1人当たり所得の上方修正は、県の経済規模や所得水準が従来より高いことを示す。これにより、他県との比較や事業立地の評価に影響が出る可能性がある。
- 過去7年分に遡る修正は、長期の経済動向分析や政策評価に用いたデータの解釈を見直す必要を生じさせる。既に策定済みの計画や数値目標がある場合、前提の再確認が求められる。
- 統計データを利用する研究者、企業、金融機関は、今回の修正を踏まえた再評価が必要となる。特に雇用や産業構成の分析において、今回誤入力があった業種の取り扱いを注意する必要がある。
原因と県の対応
県によると、ミスはデータ入力段階で発生し、第三者によるチェックが行われていなかったことが判明している。県は精査の結果、修正箇所が580箇所に上ったと説明している。これを受け、県は以下の対応を表明している。
- 修正値の公表と透明化(県ホームページでの公開)
- 入力データの複数職員による確認など、再発防止策の徹底
発表時点で、2023年度の全国順位については12月ごろに判明する見通しで、22年度分は全国順位が当初の44位から43位に上昇する見込みであると県は示している。
住民と事業者への実用的な注意点
今回の修正発表は、県内の企業や自治体、個人が行う経済判断に影響を与える可能性がある。住民や事業者が留意すべき点は次の通りだ。
- 補助金や支援制度の基礎資料として県の公表数値を利用している場合、該当期間の数値が修正されたか確認すること。
- 進出・採算計画や事業分析に県統計を用いる企業は、修正後の数値で再計算すること。特に業種別の従業者数に関するデータに注意する。
- 学術研究や報告書で県の長期傾向を使っている場合は、修正版を反映するか、注釈で修正の有無を明記すること。
県は今回のような入力ミスの再発を防ぐため、データ処理フローの見直しと複数チェック体制の導入を約束しているが、住民や事業者は公式の修正公表を随時確認することが重要だ。
岡山県の県民経済計算は、県の経済政策や企業の投資判断に広く用いられる基礎統計である。今回の修正は、数値の信頼性確保と情報公開のあり方を巡る教訓を突き付けたと言える。県は透明性ある公表と再発防止に向けた具体策を速やかに示すことが求められる。