別府・由布がゼンリンと協定 データで「周遊する観光地」へ
別府市と由布市は7月3日、地図情報会社のゼンリンと連携協定を締結した。これは2025年12月に両市が結んだ「世界一の保養・大温泉郷協定」を発展させ、観光データを活用して両市をまたぐ周遊を促進することを目的とした取り組みである。ゼンリンは別府で創業した国内大手の地図情報会社として、観光アプリの提供やデータ分析のノウハウを自治体の観光施策に生かす役割を担う。
協定で想定されるデータ活用の仕組みは、観光客が専用アプリでスポット情報を検索したり、チケットを予約したりする際の行動履歴を匿名化したうえで分析するというものだ。これにより、訪問先や宿泊地、移動ルートなどの傾向を把握できる。別府市の長野恭紘市長は「大分県全体・九州全体の温泉観光地の価値を高めていく」とし、由布市長の相馬尊重氏も「大分県、さらには九州全体の観光振興に、大きく寄与するものと期待している」と述べている。
ゼンリン側も、利用者の出身地や滞在行動の幅を把握することで、地域イメージの向上や効果的なプロモーションにつなげたい考えだ。高山善司会長は「別府市・由布市だけでなく『大分のあのエリア』というイメージが当たり前になるようなプロモーションをしていく」と語っている。
第一弾はデジタルスタンプラリー 分析で何が変わるか
今回の連携協定に基づく第一弾施策として、デジタルスタンプラリーが先週金曜日から始まり、2027年4月まで実施される。アプリを活用して両市の観光スポットを巡る仕組みで、参加者の行動データ収集と周遊行動の促進を同時に図る。自治体側は得られたデータをもとに、以下のような点を検討・改善する方針だ。
- 観光客の滞在日数や移動経路の把握による周遊モデルの構築
- 混雑しているスポットの分散化や待ち時間短縮のための導線改善
- 立ち寄りが少ない地域へのアクセス向上策や魅力発信の強化
こうした分析により、宿泊延長や地域内消費の増加など経済的な波及効果が期待されるが、一方で個人情報保護など運用面の透明性確保が不可欠となる。報道にあるとおり、アプリでの行動は匿名化されるとされるが、データの取り扱いや保存期間、第三者提供の有無などについては、今後さらに詳細なルール整備が求められる。
地域事業者と住民にとっての具体的効果
別府・由布両市は温泉観光が中核産業であり、観光客の回遊性を高めることは宿泊需要の底上げや飲食、小売、交通事業者の売上増につながる可能性が高い。今回の取り組みが進めば、次のような具体的効果が期待される。
- 観光客が複数のスポットを訪れる導線づくりにより、宿泊需要の増加が見込まれる
- 滞在中の消費行動が分かることで、地域内での連携商品やパッケージツアーの開発につながる
- 混雑緩和策や非繁忙期の集客施策に活用することで、安定した収入確保が可能になる
ただし、データに基づく施策は地域内の事業者や住民の理解と協力が前提だ。たとえば、観光アプリの導入やデジタルスタンプラリーへの参加を促すために、宿泊施設や商店街との連携、現場での案内体制の整備が必要となる。自治体は事業者向けの説明会や研修、プライバシー保護に関する情報公開を丁寧に行うことが求められる。
今後の注目点と住民への実用情報
今回の協定は大分県内の観光戦略に新たな手法を導入する試みだが、以下の点が今後の注目点となる。
- データの分析結果をどのような具体施策に結び付けるか
- 観光事業者への周知・連携の進捗状況
- 住民の生活やプライバシーに対する配慮と説明責任の履行
住民や観光事業者にとっての実用情報としては、まずデジタルスタンプラリーの実施期間が公開されている点だ。参加を希望する観光事業者や関係団体は、自治体からの今後の案内に注目し、アプリ導入の準備や来訪者への案内整備を進めておくとよい。また、アプリやデータ利用に関する問い合わせ窓口が設けられる可能性が高く、詳細は両市の公式発表で確認してほしい。
「大分県全体・九州全体の温泉観光地の価値を高めていく」と長野恭紘別府市長は述べた。
今回の協定は地域の観光資源を連携して磨くための基盤づくりに当たる。地元創業の企業が関与する点は地域の強みを生かした動きであり、データ利活用が観光産業の再編やサービス向上につながるか、大分の観光地の価値向上を見守りたい。
| 協定主体 | 主な目的 | 第一弾施策 |
|---|---|---|
| 別府市・由布市・ゼンリン | 観光データの活用による周遊促進 | デジタルスタンプラリー(〜2027年4月) |