駅前の拠点化で“出会い”を生む場に
JR鳥取駅から徒歩約5分の旧来の文具店「加藤紙店」跡をリノベーションしたビジネス共創拠点「カトカミ」が7月7日、正式にオープンした。関係者による開設式が行われ、鳥取市は同施設を契機に駅前エリアの再生を図る方針を示した。
改修と運営の体制
改修は店舗のリノベーションとして行われ、設計・改修などを含めた総事業費は約1億8000万円。建物は鳥取市が借り上げ、民間事業者に管理・運営を委託する形となっている。こうした公民連携の手法で、地域の遊休不動産を活用するモデルケースを目指す。
施設の構成と用途
施設は1階がコワーキングスペースやイベントスペース、2階・3階に企業のオフィスが設けられている。1階スペースは仕切りを最小限にした開放的な設計で、テーブルを越えた交流が促されるつくりだ。大人数での会議や研修にも対応できる機能を備える。
- 1階:コワーキング・イベントスペース(交流・研修対応)
- 2階・3階:企業オフィス(入居企業は12社が入居、または入居予定)
入居企業の動きと期待
既に入居している企業の一つに、3D設計図ソフトを開発する「ワンストラクション」がある。ワンストラクションのCEO、西岡大穂氏は「県外企業との仕事が多い中で、地元企業と新規事業やチャレンジを共に進めたい」と述べ、カトカミを通じた地元連携への意欲を示した。
「…地元の企業と一緒に新規事業を取り組むなど、このカトカミを通じてやっていきたいなと思っています」 — ワンストラクション 西岡大穂 CEO
開設当日は、県内進出に関心を持つ企業の視察団も市内中心市街地を巡回し、空き店舗や遊休不動産の現地確認を行った。視察に参加した事業者の一人、伊藤純也氏は駅前のポテンシャルに触れ、「駅前や街中に賑わいを生む余地は大きい」と指摘している。
行政のねらいと今後の展望
鳥取市経済観光部の福山博俊次長は、カトカミを地域に根付かせ、新たな企業が次々と集まる流れをつくることを目標に掲げる。福山次長は、数年後に入居企業の一部が駅前の別施設へ展開し、その後に別の新興企業がカトカミへ入る──という好循環の創出を期待している。
「何年かのちにここから駅前エリアのどこかに出ていただいて、その次にこのカトカミに新しい企業が入ってくる、そういった流れをずっと作ることで、この駅前全体がビジネスでもう一度元気になったらいい」 — 鳥取市経済観光部 福山博俊 次長
住民への影響と利用上のポイント
市が主導して整備した本施設は、単なるオフィス供給ではなく「出会い」と「共創」を重視している点で、地域の働き方やまちづくりに即効性のある変化をもたらす可能性がある。具体的には次の点が住民にとって重要だ。
- アクセス性:JR鳥取駅から徒歩約5分と利便性が高く、通勤・来訪のしやすさが期待される。
- イベント開催:1階のイベントスペースは研修や講座、交流会などが開けるため、地域の学びや交流の場として利用機会が増える可能性がある。
- 雇用創出:入居企業の事業展開に伴い、地元での雇用や業務委託の機会が生まれることが見込まれる。
利用を検討する市民や事業者は、今後の入居情報やイベント告知を市の広報や運営事業者の案内で確認するとよい。短期的には交流イベントやオープンスペースの利用機会が増えるとみられるため、関心のある市民や団体は情報収集をしておくことを勧める。
鳥取の駅前再生に向けた一歩
カトカミ開設は、駅前の物理的な再活用とともに、企業や人が交わる仕組みづくりを目指す試みだ。既存の遊休不動産を活用し、公的資源と民間の運営力を組み合わせる手法は、他地域の中心市街地再生のモデルにもなり得る。今回の取り組みがどのように街の賑わいと経済循環を取り戻すか、今後の動向が注目される。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開設日 | 7月7日 |
| 場所 | JR鳥取駅前(徒歩約5分) |
| 改修費用 | 約1億8000万円 |
| 現状の入居企業数 | 12社が入居、または入居予定 |
駅前の旧店舗を活かした共創拠点「カトカミ」は、地域内外の企業や人の出入りを通じて、駅前エリアの新たな循環を生み出すことが期待される。今後は入居企業の事業拡大や市内外の連携イベントの充実が、鳥取駅前の賑わい回復の重要な指標となるだろう。