移動美容室「フェリス」、敬老向けの期間限定プランを提供
沼津市多比の移動美容室「フェリス」は、車内での施術にプロカメラマンによる記念撮影を組み合わせた「敬老アニバーサリープラン」を、8月11日から期間限定で提供する。対象は高齢者施設やシニア向けマンション、個人宅などで、撮影した写真を2Lサイズでプリントし、2面台紙に仕上げて「敬老の日」までに家族に届ける。申し込みは9月15日まで受け付ける。
フェリスは2トントラックを改装したサロンカーで、車内にはフルフラットのシャンプー台やエアコンを備え、路面店と同等の環境で施術が可能となっている。車体の左側面にはスペインの街並みのデッサン、右側面には写真がプリントされており、撮影は車体を背景に行うことで「スペイン旅行に出かけたかのような一枚」を演出するという。
8月10日には沼津市大平の介護老人保健施設「おおひら」でデモンストレーションが行われ、施設利用者の富沢テル子さん(96)と土屋喜美惠さん(84)が参加した。施術後には台上にレッドカーペットを敷き、家族や職員の拍手の中を歩く「シニアランウェイ」を実施。参加者や家族は笑顔を見せ、撮影と施術を通じて外出したい気持ちが湧いたとの感想が伝えられた。
- 開始日:8月11日から(期間限定)
- 受け付け締切:9月15日
- 料金:2万2,000円
- 主な対象:高齢者施設、シニア向けマンション、個人宅(静岡県東部中心)
フェリスを運営する滝口真起子さんは、これまでの路面店型の受け身の営業形態から一歩踏み出し、高齢者や外出が難しい人の元へ出向く形にした経緯を説明している。滝口さんは、移動サービスにより美容師の働き方も柔軟になり、育児や家庭の事情を抱える人が働きやすくなる点も期待していると話す。サービスは施術(シャンプー、カット、ヘアメーク等)と撮影を組み合わせた内容で、外出が難しい高齢者に「きれいになる」「写真を残す」という機会を提供する。
「高齢になっても、きれいになったり、おしゃれをしたり、写真を撮ったりすることで、まだやってみたいことが生まれると思う」と滝口さん。
デモに参加した富沢さんは、施術後に「決して悪くない、いい気分。こんなことは二度とない」と述べ、若い頃に戻りたいと語った。土屋さんもメークを施された後に鏡を見て「自分じゃないみたい」と驚きの表情を見せ、駆けつけた孫の林茉央理さんは「涙が出そうなほどうれしい」と感謝を口にした。写真とセットのサービスは、家族にとっても遠方で暮らす孫世代が祖父母の様子を確認できる機会となる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営事業者 | 移動美容室「フェリス」 |
| 実施場所 | 静岡県東部エリア(高齢者施設・個人宅等) |
| 料金 | 2万2,000円 |
| 申し込み期限 | 9月15日 |
地域視点で見ると、本サービスは以下の点で住民生活に影響する。第一に外出が難しい高齢者の生活機会の創出だ。移動美容室は自宅や施設で路面店と同等の施術を受けられるため、身体的制約や交通の問題で美容サービスを受けにくかった層に届く。第二に家族の心理的支援として機能する点である。写真を台紙にして送付する仕組みは、遠方に住む家族が祖父母の姿を確認し、会えない期間に安心を得る手段となる。第三に地域雇用の多様化だ。滝口さんが指摘するように、移動型の働き方は美容師の就労継続を支え、育児や介護と両立しやすい働き方を提供する可能性がある。
利用を検討する際の実用的なポイントは次の通りだ。利用希望者は9月15日までに申し込む必要があり、料金は2万2,000円。サービスは静岡県東部を中心に提供されるため、対象地域外の場合は事前に確認が必要だ。また、撮影は車体を背景に行う構成のため、屋外での記念撮影を希望する場合は事前相談が望ましい。施設での実施例を参考に、イベント形式での実施(シニアランウェイ等)も可能で、施設側との調整で行事化できる余地がある。
フェリスの取り組みは、単に美容行為を提供するだけでなく、高齢者の社会参加や生きがいづくり、家族とのつながりを支えるサービスとして位置付けられる。地域の介護現場や家族の生活を支える新たな事業モデルとして、今後の展開と利用実態を注視したい。