性や体の疑問に“遊び”から近づく、上越で3回目の試み
新潟・上越市の市立東本町小学校で14日、子どもが性や体に関する不安や疑問を気軽に相談できる取り組み「ユースクリニック」が行われた。開催は昨年度に続く3回目で、昼休みの1時間に開放。1〜6年生の児童109人が先生や保護者とともに参加し、歌やカードゲーム、妊娠のしくみを示す模型などを介して理解を深めた。会場となった多目的室には、年齢に応じた教材が並び、保健師らが個別の相談にも応じた。
「お口とお尻とお胸は、他人が触っちゃダメ」「水着で隠れるところを『プライベートゾーン』って言うんだよ」
会場ではこうした基本的なルールを確認しながら、胸や性器などの「プライベートパーツ」を「見せない・触らせない」「人のものも見ない・触らない」という約束が、性暴力の予防につながることを、児童が自分の言葉で話す場面もあった。
学校と地域団体が連携、子ども主体の運営
取り組みは、小学生向けの包括的な性教育講座を手がける「ユースクリニックにいがた わがんあいご」と同校の協働事業。運営は大人だけでなく子どもにも開かれ、放送での参加呼びかけや当日のプログラム作りに児童が関わった。きっかけは、同団体代表の霜鳥めぐみさん(保健師、38歳)の話を家庭で聞いた5年生・橋田実咲さんの提案だった。橋田さんが養護教諭・竹田佳奈子さんに相談し、学校側が内容を精査したうえで開催が決まった。
実施当日は、遊びを通じて気づきを得る体験型の構成が功を奏し、低学年の児童も主体的に学びへ参加。高学年は保健師へ個別に質問するなど、年齢層ごとの関わり方が自然と生まれた。参加した保護者からは「家庭では切り出しにくいテーマだが、学校に相談できる機会があると助かる」との声が聞かれた。
背景にある国際的潮流と国内の現状
霜鳥さんは、性教育は5歳から始めることが国際的に提唱されていると説明する。小学4年生以降は恥ずかしさや抵抗感が強まりやすいため、楽しみながら学べる段階で疑問を解消し、信頼できる大人がそばにいることを伝える意義を強調する。ユースクリニックの原型は1970年代のスウェーデンで生まれ、同国では約300カ所に広がったとされる。
国内でも広がりが進み、こども家庭庁の委託で2025年に実施された調査では、全国に少なくとも58カ所のユースクリニックが確認された。産婦人科に併設する形や、自治体・NPOが運営する形など多様で、地域の実情に応じた入口づくりが図られている。上越の小学校での開催は、学校を拠点とした早期の気づきと相談の受け皿づくりという点で、国内の動向とも重なる。
上越市内での相談機会と直近日程
「ユースクリニックにいがた」は学校での出張開催に加え、市内の民間店舗に開かれた相談スペースを設けている。看護師や思春期保健相談士に生理痛などの悩みを相談でき、ジェンダー関連の書籍も手に取れる。いずれも予約不要・無料で、子どもがひとりでも立ち寄れる気軽さが特徴だ。
| 場所 | 実施タイミング | 直近日程 | 費用 | 予約 |
|---|---|---|---|---|
| スターバックスコーヒー 上越高田城址公園店 | 奇数月 | 7月29日 | 無料 | 不要 |
| 無印良品 直江津(直江津ショッピングセンター2階) | 偶数月 | 8月11日 | 無料 | 不要 |
日程は月ごとに設定されており、学校のテスト期間や部活動の予定とも重なりにくい。駅や公園からのアクセスが比較的よい店舗を会場にしているため、放課後の短い時間でも立ち寄りやすいのが利点だ。
地域目線で見る効果と課題
今回の学校開催は、自由参加としたことで、初めての子も抵抗感を持ちにくく、昼休みの1時間という短い枠でも一定の学習効果が得られた。一方、授業の系統性や学年進行に即した継続的な学びとの接続は、今後の検討課題となる。学校現場では、養護教諭・学級担任・地域の専門職が役割を分担し、普段の声かけから相談につなげる体制づくりが重要になる。
保護者にとっては、家庭内で話題にしづらいテーマを学校・地域が受け止めることで、過度な負担を分散できる利点がある。子どもにとっては、「安心して話せる大人が近くにいる」ことを体感できるのが最大の効果だ。相談のハードルを下げる仕掛けとして、ゲームや模型などの体験的教材が入口になった点は、他校・他地域にも応用可能だろう。
利用の手引き:参加前に知っておきたいこと
- 対象:小学生を含む子ども・保護者。学校開催は校内の案内に従って参加。
- 費用:無料。市内の常設的な相談機会も予約不要・無料。
- 相談内容:生理や妊娠の基礎、体の成長、プライバシーの守り方、ジェンダー関連の読書スペースなど。
- 進め方:歌・ゲーム・模型を活用した体験型。個別の質問にも保健師・看護師が対応。
- 留意点:写真撮影や記録の扱い、個人情報の保護は会場の指示に従う。
上越市の学校と地域団体が連携した今回の取り組みは、子どもが自分の体と向き合い、困ったときに頼れる場所を知る実践として定着しつつある。参加者が109人に上った事実は、関心の広がりとニーズの確かさを物語る。今後も学校現場での継続、店舗での定期開催の両輪で、子どもたちの安全と学びを支える土台づくりが期待される。