無料サービスを約3万人が利用
新潟県が進める女性の健康管理と妊娠準備を支える取り組みが、開始から約1年を迎えた。県は女性の健康支援に取り組む企業と協力し、月経周期の把握や妊活に役立つ情報を提供するスマートフォン向けサービスを、県民が費用を負担せず使える環境を整えている。県単位で同様の施策を始めたのは全国で初めてとされ、県内では約3万人が有料機能を無料で利用している。
対象となるサービスは、エムティーアイが運営する「ルナルナ」。県との連携により、通常は月額約400円の有料サービスを、2025年10月から2027年10月末まで利用できる。生理日の記録や予測に加え、排卵期の見通しを基に、本人とパートナーに妊娠を希望する時期の目安を知らせる機能、妊活に関する情報の閲覧機能などがある。
18市町村の集計で減少幅が縮む
取り組みの開始後、県内の妊娠届出数をめぐって変化が表れた。サービス提供企業が調べた県内18市町村の集計では、昨年度の11月から6月までの届出数が、直近5年間の同じ時期と比べて最も小さい減少幅となった。取り組み前の同期間は、前年に比べて3.67%から8.99%減少していたのに対し、昨年度は2.83%減だったという。
| 項目 | 確認された内容 |
|---|---|
| 対象期間 | 昨年度の11月~6月 |
| 集計範囲 | 県内18市町村 |
| 過去の減少幅 | 前年同期比3.67%~8.99%減 |
| 昨年度の減少幅 | 前年同期比2.83%減 |
ただし、この数字だけで無料サービスが妊娠届出数の改善をもたらしたと結論づけることはできない。妊娠に至るまでには、年齢や体調、生活環境、医療機関の受診状況、結婚や出産をめぐる意識など、さまざまな要素が影響するためだ。今回の集計は、県全体のすべての市町村を対象にしたものではなく、対象となった自治体の合計について、過去との増減を見た結果である。数字を施策の成果として単純に読み替えないことが重要になる。
利用者の声、夫婦で情報を共有
一方、利用者からは、排卵周期を知ることで妊娠に向けた行動を考えやすくなったという声が寄せられている。無償で使えることを知ったのをきっかけに、パートナーと気持ちを確認して妊活を再開した例や、男性側が女性の月経周期や身体の変化に関心を持つようになったという例もある。アプリ上で妊娠を希望する時期の目安を共有できる点を、夫婦間の意思疎通に役立てている利用者もいるという。
妊娠には様々な要因が影響することから、今回の結果をもって取り組みの効果を判断することはできませんが、妊娠届出数の減少幅の縮小が見られたことは、前向きな動きとして受け止めています。
県健康づくり支援課の小山課長補佐は、こう説明している。県は、今回の動きを一つの参考材料としながら、女性が自分の健康状態を知り、正確な知識に基づいて日々の管理に取り組めること、妊娠を望む人が安心して準備を進められる環境につながることを期待している。
利用前に確認したい点
県民がこの支援を利用する際に押さえておきたい点は次の通りだ。
- 無料利用の期間は2027年10月末までとされている。
- 対象となるのは、通常月額約400円の有料サービスの機能である。
- サービスは健康管理や妊活に関する情報提供を目的とするもので、利用しただけで妊娠を約束するものではない。
- 妊娠や身体の不調について不安がある場合は、サービスの情報だけで判断せず、医療機関などへの相談を検討する必要がある。
生理日や排卵期の予測は、入力情報や個人差によって変わり得る。妊活の時期を考える手掛かりとして活用する場合も、表示された内容を絶対的な日程と捉えず、本人とパートナーが無理のない範囲で話し合うことが欠かせない。特に、利用者の健康状態や妊娠を希望する時期はそれぞれ異なるため、他人の経験をそのまま自分に当てはめることはできない。
新潟県の施策は、少子化対策として妊娠や出産の結果だけを追うのではなく、月経や身体の変化を知る機会、夫婦やパートナー間で情報を共有する機会を広げる点にも意味がある。今回確認された届出数の減少幅の縮小が今後も続くのか、利用者の健康意識や相談行動にどのような影響があるのかを、県と関係機関が継続して検証できるかが焦点となる。県民にとっては、無料期間や利用条件を確認し、自分の体調を把握するための一つの手段として、必要に応じて活用することが現実的な向き合い方になる。