両社の撤退が確定、稼働歴はいずれも50年以上
三重県名張市で、長年にわたり地域の雇用と産業基盤を支えてきた大手工場が相次いで閉鎖することが明らかになった。衛生用品大手のユニ・チャームが運営する三重工場(東田原)は2027年12月末までに操業を終える計画で、住宅設備・建材のLIXIL(リクシル)が保有する名張工場(蔵持町芝出)は2027年3月に閉鎖すると発表された。両工場とも稼働開始から半世紀以上が経過している。
ユニ・チャーム三重工場は1966年の操業開始から地域での生産を続け、近年はペット用品などを生産していた。LIXIL名張工場は1970年に竣工し、かつてのトステム時代から玄関ドアなど住宅用建材の製造を担ってきた。
閉鎖理由と企業側の対応
両社とも工場閉鎖の理由は生産体制の再編によるもので、ユニ・チャームはグループ内での生産拠点統合と経営効率化を目的としている。LIXIL側は新築住宅着工戸数の減少や施設の老朽化など市場環境の変化を背景に、生産拠点の集約を進める方針だ。現時点で両工場の跡地利用は未定とされている。
影響の範囲と市の対応
直接的な影響は従業員に集中するが、関連事業者や地域経済にも連鎖する見込みだ。記事に示された人員は、ユニ・チャーム三重工場が約20人、LIXIL名張工場が513人。企業側は従業員の雇用維持を最優先に、グループ内での配置転換などを進める方針を示している。
市商工経済室の担当者は「非常に重く受け止めている。これまで経済、雇用面など、多大な貢献を頂いた。国や県と連携し、市としてできる最大限の支援をしていきたい」と話した。
市は税収や地元経済への影響を精査するとしており、国や県と協力した支援策の検討を表明している。だが根本的な再雇用先の確保や取引先企業の打撃を補うには時間と労力が必要になる。
地域へ及ぶ具体的な波及効果
今回の工場閉鎖が地域に与える影響は多面的だ。考えられる主な波及項目は以下の通りである。
- 雇用面:直接の従業員は配置転換や転職が必要となる。特にLIXIL名張工場の規模(513人)は地域の主要雇用先の一つであり、短期的な失業増加の懸念がある。
- 供給・下請け業者:部品や資材を納入する地場企業は注文量の減少や取引先の再編に直面する。
- 地域経済:工場従業員が利用する飲食店、小売店、サービス業への消費が減少し、商店街などに影響が及ぶ可能性がある。
- 税収・自治体運営:工場関連の固定資産税や法人税などの減少が想定され、中長期的には市財政にも影響するおそれがある。
従業員と住民に向けた実務的なポイント
工場閉鎖の発表を受け、影響を受ける従業員やその家族、関連事業者にとって即時に必要な確認事項と行動は以下の通りだ。
- 企業からの個別説明会の日程や雇用条件(配置転換の可否、転勤の有無、補償・支援内容)を早めに確認すること。
- ハローワークや職業訓練機関と連携し、再就職支援や職業訓練の情報を収集する。特に製造業以外の分野への再スキル習得が将来的に重要となる。
- サプライチェーンに関わる中小企業は、代替市場や取引先の開拓、自治体による支援策の利用を検討する。
市は既に「可能な支援を検討する」と述べており、今後具体的な支援メニューや相談窓口が提示される見込みだ。従業員や取引先は市の発表に注目し、必要に応じて早めに相談窓口を利用することが望ましい。
地域の将来像と課題
長年にわたり地域を支えてきた大手工場の撤退は、名張市の産業構造を見直す転機でもある。短期的なダメージを和らげる支援策の整備に加え、中長期では地域資源を生かした産業振興や新たな雇用創出策が求められる。
| 項目 | 該当数 |
|---|---|
| ユニ・チャーム三重工場(従業員) | 約20人 |
| LIXIL名張工場(従業員) | 513人 |
地方自治体と企業、関係機関が連携して再就職支援、企業誘致、跡地利用の計画形成を進められるかが、今後の地域回復の鍵となる。住民生活への影響を最小限に抑えるためには、透明性のある情報共有と迅速な対策実行が不可欠だ。
(三重県担当記者 橋本 奈々)