県が物価高対策を最優先に補正予算案を公表
三重県は1日、物価上昇とエネルギー価格の高騰に対応するための2026年度一般会計補正予算案を公表した。総額は17億1150万円で、14日に開会する県議会へ議案提出の予定だ。今回の補正は生活・事業の現場で急を要する支援を中心に組まれている。
県が示した主な配分は、物価高の影響を受ける事業者向けの支援に10億8588万円を計上する点だ。公定価格や負担限度額のために料金への価格転嫁が難しい医療機関、薬局、高齢者施設などを対象に、食材費や電気料金などの高騰分の一部を原則として3か月相当分を補助する枠組みを想定している。私立・県立学校の給食費負担分についても同様に3か月相当を支援する方針だ。
また、エネルギー費の影響が大きいとされる銭湯11施設に対し、電気料金の高騰分や高効率ボイラーへの改修費の半額補助を盛り込んだほか、公共交通事業者へ燃料費高騰分の半額補助を行うなど、業種ごとの実務的な支援策が並ぶ。
「一番のポイントは物価高、エネルギー高騰への対応。緊急に対応しなければならないものを盛り込んだ」
一見勝之知事は記者会見で上記のように述べ、今回の補正の目的を説明した。
カスハラ対策や先行的な環境技術導入も
県は今秋に条例制定を目指すカスタマーハラスメント(いわゆる「カスハラ」)対策に合わせ、小規模事業者向けの支援も用意する。録音・録画が可能な機器を新規導入する費用の一部を補助する枠を設け、対象は従業員数が少ない卸売・小売、サービス業、製造業などに限定している。事業費としては2000万円を計上した。
環境面では次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池の普及促進に向け、県鈴鹿庁舎の車庫棟屋根約100平方メートルに同電池を設置する先行事例づくりに関連し、展示や普及事業に7200万円を計上した。12月開催の「みえ環境フェア」での特別展示や県庁常設展示も予定している。
クマ対応の猟師チーム結成へ備品なども計上
人里近くでのツキノワグマの目撃や捕獲が増えていることを受け、県は市町からの要請に応じて出動できる猟師チームを県独自で編成する計画を盛り込んだ。訓練費や腕章などの備品費として230万円を計上し、10月を目途に約50人規模での組織化をめざすという。県内では今年に入り生活圏でのクマ捕獲が既に複数件発生している。
住民・事業者への影響と今後の手続き
今回の補正案は、事業者の運営維持や公共サービスの継続に直結する内容を多く含む。対象となる事業者は、補助の対象要件や手続き方法を確認することが重要だ。特に医療機関や高齢者施設、銭湯、公共交通事業者などはそれぞれ対象要件が異なる可能性があるため、正式な申請要領や窓口が示され次第、速やかな対応が求められる。
- 補正案は14日に県議会へ提出予定、可決後に具体的な申請要領が公表される見込み。
- 事業者支援は原則として「3か月相当分」を基準に補助を想定している点に留意。
- 小規模事業者向けの録音・録画機器補助は、カスハラ対策条例に連動する施策。
下表は、報道発表で明示された主な配分内訳を整理したものだ(県の発表に基づく)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 総額 | 17億1150万円 |
| 事業者支援 | 10億8588万円 |
| ペロブスカイト導入・普及関連 | 7200万円 |
| 小規模事業者向け録音・録画機器補助 | 2000万円 |
| クマ対応猟師チーム備品等 | 230万円 |
取材で見えた課題と住民への助言
県内の中小事業者や公共サービス事業者からは、日々の運営費に占めるエネルギーや食材費の割合が高まっているとの声が多い。今回の補正は短期的なしのぎとしては有効だが、長期的には価格変動に強い経営体制や省エネ投資の促進、料金設定の見直しなど継続的な対策が求められる。
県民にとっての実務的なポイントは次の通りだ。支援を受けたい事業者は、県の正式発表後に提示される申請期間と必要書類を速やかに確認すること。給食費や医療機関向けの補助は対象要件が細かく定められる可能性があるため、所属する団体や所管部署との連絡を密にしてほしい。
県は今後、県議会での審議を経て正式決定を目指す。可決された場合は速やかに運用細則が示され、支援の実施段階に移行する見込みだ。
(三重県担当記者 橋本 奈々)