水戸一、リリーフ手面が129球熱投も及ばず
第108回全国高校野球選手権茨城大会の2回戦は10日、ノーブルホーム水戸で行われ、科技学園日立が4―3で水戸一を下した。県内有数の進学校として知られる水戸一は、主将で捕手兼投手の手面太志(3年)が3回から2番手でマウンドに上がり、7回を投げて7安打3失点(自責2)、計129球を投じる熱投を見せた。打っては4回に同点の二塁打を放つなど、投打にわたりチームを牽引したが、9回に決勝点を献上し、初戦で夏の大会を終えた。
試合時間は2時間38分。手面は三塁側ベンチ前に整列して相手校歌を聞き、敗戦の現実を受け止めた。仲間のすすり泣きが響く中、言葉を絞り出すようにこう語った。「キャプテンでピッチャーで4番っていうところで、自分の力不足。それしかないなと思います。『終わっちゃったな』っていうのと、『みんなとやれてよかったな』という気持ちです」
「積み上げてきたもの、経験できたことは、いい宝物です。チームメートは宝物。これからもずっと関わっていくと思いますし、一生の宝物ですね」
手面はこの夏を最後に受験勉強に専念し、医学部を目指す意向を示している。試合中は自己最速タイとなる136キロの直球を投げ、スライダーで勝負する場面もあった。監督の木村優介(41)は、先発の宗方優太(3年)が2回を投げた後、変化球に打線が対応してきたことを受けて継投を決断。手面の登板はその采配の一環で、流れを断ち切る狙いがあった。
- 試合結果:科技学園日立 4―3 水戸一(2回戦、ノーブルホーム水戸)
- 手面太志の投球:7回、7安打、3失点(自責2)、129球、自己最速タイ136キロ記録
- 手面の打撃:4回に同点となる右中間への二塁打。8回には申告敬遠で打席を避けられた場面もあった
攻守にチームを支えた手面の奮闘にもかかわらず、水戸一は8回の満塁機を生かせなかったことが惜しまれる。8回1死満塁の好機で無得点に終わった場面が試合の分岐点となり、9回の先頭への四球が決勝点のきっかけとなった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会場 | ノーブルホーム水戸 |
| 試合種別 | 第108回全国高校野球選手権茨城大会・2回戦 |
| 試合時間 | 2時間38分 |
水戸一は進学校として学業と部活動を両立させる取り組みが知られている。今回のチームも例外ではなく、主将である手面の「野球と学業、どちらも全力で取り組みたい」という姿勢は、同校の部活動の在り方を象徴する。手面は試合後に「1つに集中するのも素晴らしいが、1つじゃ足りない。2つ、3ついろいろやりたい」という考えを示しており、今後は受験に向けて野球から一旦離れて学業に専念する見込みだ。
地域への影響と今後の動き
水戸市内の高校野球は地域コミュニティに根差した関心事であり、水戸一の初戦敗退は学校関係者、同校OB・OG、保護者にとって大きな話題となる。部員の多くは進学を控えており、特に3年生はこれから受験勉強に集中するケースが増えるため、部活動運営や指導体制にも短期的な影響が出る可能性がある。
今後、以下の点が注目される。
- 手面ら3年生の進学・進路決定に伴う部員構成の変化
- 木村監督の今後のチーム立て直し方針と、若手選手の育成計画
- 水戸市内高校野球の支援・観戦環境(練習時間の確保や受験期の両立支援)
市民や保護者への実用的な情報としては、引退する3年生の保護者会や学校側が告知する進路説明会、部活動の説明会・新チームの練習公開日など、今後発表される可能性のある行事を注視することが重要だ。大会運営側は各校の公式発表や学校連絡網で情報を出すため、応援に足を運んだ保護者や関係者は学校発表を定期的に確認してほしい。
今回の試合は白星には届かなかったが、選手たちが得た経験とチーム内の結びつきは長く残る。手面が述べた「チームメートは宝物」という言葉は、敗戦後にも複数の選手や関係者の口から共感を持って語られた。水戸一関係者や地元高校野球を支える人々にとって、この夏の収穫を今後の指導・支援に生かしていくことが求められる。
(取材・文=中村 智子)