県がVTuberを活用、若年層向けに観光周遊を促進
栃木県は、人気VTuberのラプラス・ダークネスを起用した新たな観光プロモーションを2026年7月31日から展開する。配信と連動した動画コンテンツで県内のスポットを“聖地”として紹介するとともに、LINEを用いたデジタルスタンプラリーで来訪促進と地域消費の拡大を図る。ラプラスは既に5月に「とちぎ未来大使」に就任しており、同県の狙いは若年層に対する認知度向上と周遊促進だ。
県が公表した事業概要によると、制作する動画は1本およそ5分、合計5本で、ラプラス自身の視点を活かしたVlog形式で計13箇所を「聖地」として紹介する。第1弾は「in 那須」で、県公式YouTubeチャンネル「15Tube」で7月31日に配信される予定。11月までに「in 日光」「in 県央」「in 県東」「in 県南」を順次公開するとしている。
「推し活」と「聖地巡礼」を掛け合わせることで、視聴から来訪、来訪から広域周遊へつなげたい、というのが県のねらいだ。
スタンプラリーと特典、参加方法
動画と連動する企画の中核は、LINEを活用したデジタルスタンプラリーだ。動画で紹介する13箇所を含む、周辺スポットを合わせた計25箇所のスポットを巡る。開始は動画公開日と同じく7月31日で、終了は2027年1月31日。
- 参加方法:栃木県公式LINEまたは「おとくにポチッとちぽ」LINEを友だち追加
- スタンプ獲得:各スポットに設置されたQRコードを読み取ることで獲得
- 特典:獲得スタンプ数に応じてデジタルクーポン(全員)、抽選で県産品やスペシャルグッズ
具体的な賞品は、スタンプ1個でクーポン10枚(全員)、5個で冷凍餃子(抽選50名)、10個でとちあいか(抽選40名)、15個で精米(抽選30名)、20個でとちぎ和牛サーロイン(抽選20名)、25個でラプラス直筆メッセージ入りスペシャルグッズ(抽選5名)となっている。
狙いと背景:推し活とVTuberの影響力
県がこの手法を採った背景として提示しているのは、近年の「推し活」市場の拡大とVTuberの影響力だ。資料では、国内で“推し”を持つ人は多く、コンテンツへの年間支出も拡大していることを挙げ、IPとしてのキャラクターとインフルエンサー性を併せ持つVTuberが、若年層の来訪動機を喚起しやすいと分析している。
観光地側にとっては、従来の情報発信とは異なる「共感を伴う体験誘導」が期待できる。ラプラスという発信力のある人物(キャラクター)を通じて「訪れてみたい」「同じ場で写真を撮りたい」といった行動につなげる狙いだ。また、LINEを使ったデジタルスタンプラリーは若年層が参加しやすく、集客効果だけでなく、周辺店舗で使えるクーポンを通じて地域経済への還流も見込める。
地域への影響と課題
期待される効果は次の通りだ。
| 効果 | 想定される影響 |
|---|---|
| 来訪増加 | 観光スポットへの人流増、宿泊や飲食の利用拡大 |
| 若年層への認知拡大 | 県の中長期的な観光客層の多様化 |
| 地域消費の促進 | デジタルクーポンで地元店舗の利用促進 |
一方で注意すべき点もある。短期間で特定スポットに来訪が集中すると、混雑やマナー問題が生じる恐れがある。さらに、スタンプラリー参加者が周辺の観光資源や住環境に配慮するかどうかは重要で、事前の案内や現地の受け入れ態勢整備が必要だ。県は複数のエリアで順次公開する計画としており、分散型の周遊を促す工夫が鍵になる。
参加者への実用情報
参加希望者は、開始日に合わせて県の動画を視聴し、栃木県公式LINEまたは「おとくにポチッとちぽ」を友だち登録する。各スポットでのスタンプ取得はQRコード読み取り方式のため、スマートフォンが必須。特典は抽選方式のものが多いため、確実な特産品獲得を目的に遠方から訪れる場合は宿泊や移動計画の事前確認を推奨する。
また、動画で紹介される「聖地」は順次公開されるため、訪問前に公式サイトやLINEでスポット一覧とアクセス、開館時間などを確認すること。地域のイベントや混雑情報も同時に確認するとよい。
栃木県は今回の取り組みを通じて、短期的な来訪者増だけでなく、若年層を含む新たなファンづくりと周遊型観光の定着を目指す。デジタル施策とローカルな実需をつなげる試みが、どの程度の経済効果と定着性をもたらすか、今後の展開を注視したい。
(小林 直樹)