歴史ある茶店が“使いやすさ”を重視して京都店を再構築
宇治を拠点とする老舗茶舗、京はやしやは8月1日に京都店をリニューアルオープンした。創業は1753年で、現在まで約273年にわたり茶文化を伝えてきた。同店は今回の改装で、従来の趣を残しつつも白を基調としたカジュアルな空間を打ち出し、気軽に訪れやすい店舗設計へと方針を転換した。
リニューアルのポイントは客席数の増加と物販・持ち帰りメニューの拡充だ。従来あったカウンター席を撤去して1階の席数を増やし、店頭での生菓子やロールケーキの販売を新たに始めた。観光での短時間利用や買い物ついでの立ち寄りに対応することで、来店機会の拡大を見込む。
「本物のお茶」の味わいを受け継ぎつつ、より気軽に立ち寄れる空間を目指す
メニュー面では、京都店限定の商品群を多数用意した点が注目される。三条時代の味を受け継ぐという紅茶を使ったパフェの復活をはじめ、宇治抹茶を軸にしたかき氷や茶そば、茶飯など和のテイストを生かしたラインナップを打ち出している。価格はパフェやかき氷などの主力商品で1,000~2,600円台の帯に設定され、観光客の需要と地元の利用双方を見据えた価格構成だ。
代表的な限定メニューの構成は次の通り。
- 紅茶パフェ(単品1,700円/お茶セット2,140円)— 紅茶ゼリーや紅茶アイス、白玉などを重ねた構成
- 宇治抹茶もんぶらん氷(単品2,200円/お茶セット2,640円)— 石臼挽き宇治抹茶を用いたもんぶらんクリームを特色にしたかき氷(期間・数量限定)
- その他、紅茶クリームソーダ、小雪紅茶氷、茶そばや茶飯など
併せてテイクアウトメニューのラインナップも拡張している。煎茶やほうじ茶といったドリンク(各500円)に加え、抹茶ラテやほうじ茶ラテ(各700円)、抹茶ソフト・紅茶ソフト(各650円)などを手軽に持ち帰れる設定とした。食べ歩き需要を意識した「和もんぶらんソフト -抹茶-」(980円)など、短時間で楽しめる商品の投入も図っている。
| 商品例 | 単品価格 | 備考 |
|---|---|---|
| 紅茶パフェ | 1,700円 | お茶セットは2,140円 |
| 宇治抹茶もんぶらん氷 | 2,200円 | 期間・数量限定 |
| 抹茶ラテ | 700円 | テイクアウト可 |
地域への影響と実務的な意味合い
この改装は単なるデザイン変更にとどまらない。まず第一に、観光客の回遊促進だ。中京区の中心部に位置する京都店は観光ルート上にあり、立ち寄りやすいカジュアルな内装やテイクアウト強化は、短時間滞在の旅行者に対応する施策として妥当だ。特に夏季はかき氷や冷たいドリンクの需要が高まるため、期間限定メニューは集客効果を期待できる。
第二に、地元消費者の利用機会が増える点だ。営業時間は従来通りの案内だが、客席数の増加や物販商品の常設により、日常使いのニーズにも応えやすくなる。手土産やちょっとした贈答ニーズ、仕事帰りの一服といった短時間利用が増えれば、店舗の回転率と売上構造に変化が出る可能性がある。
第三に、地場産茶葉の訴求力強化だ。京はやしやが使用を明示する宇治抹茶は、地域の製法や産地に基づく品質強調ができる素材であり、地元産業のプレゼンス向上にも寄与する。観光客にとっては“産地由来の味わい”を店舗で体験できる点が土産品購入につながる好材料となる。
利用を検討する読者への実用情報
- 所在地:京都市中京区蛸薬師通麩屋町東入蛸屋町152番地2
- 営業時間:11:00〜20:00(リニューアル後の案内)
- 公式アカウントやオンラインショップで季節限定商品の情報が更新されるため、来店前の確認を推奨
リニューアルによって伝統の味を守りながら、利用者層の拡大を図る狙いが明確になった。観光での立ち寄りや地元の日常利用、手土産需要といった複数の需要を同時に取り込む戦略は、京都の飲食・物販市場における老舗の挑戦の一例として注目に値する。
(石川 真央)