地域の冬を守る拠点、だが経営には重い負担
今週、宮崎県のスキー場が廃止方針を明らかにしたことを受け、大分県九重町のくじゅうスキー場が九州で唯一のスキー場になる見込みです。1996年の開業以来、冬季観光の拠点として位置付けられてきた同スキー場は、2024シーズンに約12万人の来場で過去最高を記録するなど一時的な好調が見られる一方、温暖化の影響や設備維持に伴うコスト増が重くのしかかっています。
人工降雪機が不可欠、運転コストは一晩で大きな負担に
くじゅうスキー場では降雪の大部分を人工降雪機に頼っており、設備の稼働がなければ営業自体が成り立ちません。関係者によれば、降雪機50台超を稼働させると、一晩で燃料費と電気代が50万円以上かかるという現実があります。燃料価格の高騰は運営に直接響き、設備更新や維持にかかる投資も継続的な負担です。
「燃料代高騰があって一番ダメージはあるが、まず雪を作らないと、スキー場という商売ができないのでそこは致し方なく捉えて投資をしている」
この言葉が示す通り、経営側は採算性とサービス維持の狭間で判断を迫られています。降雪機の導入・更新は資本支出を伴い、年間の運営コストも変動が大きいため、長期的な収支計画が重要になります。
来場者動向と地域への波及効果
くじゅうスキー場はスノースポーツ愛好者だけでなく、子ども連れの雪遊びなど幅広い需要を見込んでおり、運営側は「スノースポーツだけでなく子供がそり遊びをしたり雪遊びをしたりする機会」を提供することを継続理由の一つに挙げています。観光客の滞在は宿泊、飲食、小売りなど地域経済に直接つながるため、スキー場の存続は九重町や周辺自治体の冬季の集客力に影響します。
- 冬季の来場者数は地域経済の需要を生む重要な指標。
- 人工降雪機や燃料費の負担は事業継続のリスク要因。
- スキー場廃止は地域の雇用や観光資源喪失につながる可能性。
今後の展望と地域が取り得る対応策
くじゅうスキー場が九州唯一のスキー場となることは、短期的には注目や集客を呼ぶかもしれませんが、同時に運営側には持続可能性を高めるための対策が求められます。現状の課題を整理すると、主に以下の点が浮かび上がります。
| 課題 | 現状 |
|---|---|
| 降雪の確保 | 人工降雪機に依存。稼働に大きな燃料・電力コストが必要 |
| 経費の変動 | 燃料費高騰が収支に直結 |
| 需要の安定化 | 一時的な来場増はあるが、長期的な利用者確保が課題 |
自治体や民間が取り得る策としては、エネルギー効率の高い設備投資補助、降雪機の燃料代や電力コストを抑えるための再生可能エネルギー導入支援、オフシーズンも含めた通年型の体験プログラムの開発などが考えられます。地域の観光資源としての価値を維持するためには、単一の冬季事業に依存しない複合的な観光振興策が必要です。
住民・事業者への具体的影響
スキー場関連の雇用や冬季の集客が減少すれば、宿泊業や飲食業、バス・タクシー業など周辺事業者の売上に直接影響します。逆に、九州唯一のスキー場となることで、メディア露出が増え一時的な来訪拡大が見込める可能性もありますが、それを持続可能な収入に変えるための受け皿整備が不可欠です。また、家族連れの雪遊びなどレジャー機会の確保は地域の暮らしや子育て環境にも関わるため、廃止の有無は住民生活にとっても重要な問題です。
くじゅうスキー場は、今シーズンの営業を12月11日から開始予定としています。事業継続に向けた議論はこれから本格化する見込みで、自治体や事業者、地域住民の間で持続可能な運営モデルをどう構築するかが焦点となります。冬の観光資源を守るための投資と工夫が、九州全体の冬季観光の在り方を左右する局面に差し掛かっています。