県、企業と連携し関係人口の実態と潜在ニーズを調査へ
福井県はNTT東日本株式会社、調査会社の株式会社インテージと2026年10月21日、関係人口の実態把握と拡大に向けた相互協力協定を締結した。協定は県内外を対象にした量的調査と、県内の先行事例を対象とした質的調査を組み合わせ、得られた知見を今後の施策に反映することを目的とする。
協定の柱は三点で、(1)関係人口像の具体化に向けた量・質両面の調査実施、(2)総務省が推進する「ふるさと住民登録制度」の利活用に関する潜在ニーズの把握、(3)関係人口拡大を推進するための示唆提供と指標化検討だ。県は全体の管理・牽引役、NTT東日本は質的調査や先行モデルへの参画、インテージはWeb調査設計と実施を担う。
「福井県における関係人口の実態や潜在ニーズを把握するための調査を実施し、今後の関係人口の拡大につなげることを目的」
背景:地域との継続的な関わりを量的にも質的にも把握する必要性
近年、地方創生の文脈で「関係人口」の概念が注目されている。単純な移住・定住の増加だけでなく、地域外に居住しながら地域と継続的に関わる人々をどのように受け止め、地域づくりに生かしていくかが重要だ。福井県は、地方自治体として「ふるさと住民登録制度」を踏まえた環境整備を進める中で、関係人口の構造や参加意欲、継続の阻害要因などを精緻に把握する必要に迫られていた。
今回の協定は、自治体と民間企業がそれぞれのノウハウを持ち寄る点が特徴だ。NTT東日本はインタビュー調査などの定性手法に強みを持ち、インテージはマーケティングリサーチの技術で大規模なWeb調査による定量データを提供する。これにより、現場の個別事情と広域的な傾向の双方を補完し合いながら分析することが可能になる。
県民・地域に及ぶ具体的影響
県内の自治体や地域団体にとって、今回の調査結果は今後の活動設計に直接資する材料となる。例えば、地域イベントや体験プログラム、寄付・応援の呼びかけ、オンラインでの参加受け皿づくりなど、関係人口を増やし深めるための施策をより実効性の高い形で設計するための根拠となる。
具体的には以下のような影響が想定される。
- 地域側:効果的な情報発信・体験機会の設計、受け入れ態勢の改善
- 県施策:ふるさと住民登録制度の運用方針や誘導策の見直し、指標化による評価体系の導入
- 住民生活:外部との交流が活性化し、地域資源の活用や世代間交流、経済的波及効果が期待される
調査の設計とスケジュール感
協定で示された役割分担に基づき、調査は大きく二段階で進行する見込みだ。まずはWebを中心とした定量調査で広域的な属性・行動・意識の傾向を把握し、次いで先行事例の関係者や参加者へのインタビューなどで深層的な要因を掘り下げる。県は先行4市町のモデル事業を調査対象に含める方針を示しており、現場に即した示唆が得られることを重視している。
以下は、発表された主な取り組み事項を整理した表だ。
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 量的調査 | インテージによるWeb調査で県内外の関係人口の意識・行動を把握 |
| 質的調査 | NTT東日本による先行事例のインタビュー等で継続要因を分析 |
| 指標化検討 | 関係人口の創出・継続を評価する指標の検討 |
留意点と今後の展望
注意すべき点として、調査の結果をどう具体的な施策に落とし込むかが鍵になる。調査で明らかになるのはあくまで「傾向」と「示唆」であり、地域ごとの事情や資源に応じた解釈と適用が求められる。県は調査結果を踏まえて、ふるさと住民登録制度の運用方針や関係人口施策の見直しを進める意向だが、現場の自治体や地域団体が主体的に取り組める体制づくりも同時に必要となる。
また、プライバシーやデータ活用に関するルール整備も重要だ。Web調査やインタビューで得られる個人情報や行動データをどう匿名化・集計し、透明性を保って政策に活かすかは住民の信頼を得る上で不可欠だ。県と企業側はこの点についても適切な対応を講じることが求められる。
編集部からの視点
人口減少が続く地方において、「関係人口」は重要な資源になり得る。ただし量だけを追うのではなく、関係が継続し地域にとって意味ある関わりとなることが肝要だ。今回の協定は、企業の調査力と自治体の政策立案力を組み合わせる好機であり、福井県における実行可能な指標や具体的施策が導き出されることが期待される。
調査結果が公表され次第、地域別の特徴や先行4市町の具体的な成功・課題事例を精査し、現場レベルで使える情報として住民や自治体に提供していく必要がある。福井県内の自治体やまちづくり団体は、外部資源をどう取り込み、自分たちの文脈に適合させるかという実務に直面することになるだろう。
(林 佳奈/プレスリリースジェーピー福井県担当記者)