求人データで見る県内の賃金実態
ジョブメドレーに掲載された神奈川県内の介護職求人(2026年6月時点)を基にした集計で、正職員の平均月給の下限平均が24.3万円、中間平均が26.9万円、上限平均が29.5万円であることが示された。記事では中間値をおおむねの目安として取り扱っている。求人票に示される給与幅は経験や資格により変動するが、求職者が期待し得る標準水準を把握するうえでの有用な指標だ。
全体像と傾向
集計された求人の分布では、正職員の求人の約55.1%が月給25〜30万円の帯に集中しており、県内の多くの事業所でこの帯が標準的な給与レンジになっていることがうかがえる。一方、パート・アルバイトでは時給帯が異なり、約77.8%が時給1,200〜1,599円に収まる構成だった。
施設形態・エリア別の差
施設形態別では、住宅型有料老人ホームが月給面で最も高く、平均約28.1万円(年収換算:約393万円)となっている。逆に通所介護・デイサービスは平均がやや低めで、約26.0万円(年収換算:約363万円)となった。パートの高時給は訪問介護や訪問入浴など訪問系サービスに偏る傾向が見られた。
| 指標 | 金額 |
|---|---|
| 正職員 下限平均(月給) | 24.3万円 |
| 正職員 中間平均(月給) | 26.9万円 |
| 正職員 上限平均(月給) | 29.5万円 |
市区町村別の状況と意義
エリア別では、最も平均月給が高かったのは藤沢市(約28.0万円)で、最も低かった相模原市緑区(約25.6万円)と比べて月額で約2.4万円、年収換算では約33.6万円の差が存在する。こうした地域間格差は生活費や通勤時間、雇用市場の需給バランス、施設ごとの資金力やサービス方針など複数要因が絡む。
- 求人情報をみて転職や就職を検討する際は、給与に加え夜勤手当や残業手当、社会保険の有無を確認すること。
- 事業者は地域間・施設間の賃金差を踏まえた採用戦略や人材定着策が必要になる。
- 自治体や関係団体は賃金改善や働き方支援の優先順位を考える材料とできる。
会員データから見える実勢賃金
ジョブメドレーに登録する会員(プロフィール更新が過去1年以内のユーザー)を対象とした集計では、神奈川県で働く介護職会員(正職員・231名)の平均年収が415万円、中央値が410万円だった。年代別では30〜60代でおおむね横ばいの水準(約416〜425万円)となっており、経験年数が直線的に伸びない職務特性や資格・役職の影響を示唆している。
現職者・求職者への実用的な示唆
求人票に表示される月給は賞与や変動手当に左右されるため、実際の手取りや年収の見込みは事業所ごとに異なる。記事は年収を月給×14か月(賞与2か月分)として換算しているが、実際には夜勤回数や残業状況で上下する点に注意が必要だ。求職活動をする人は次の点を確認しておくとよい。
- 夜勤手当、深夜手当、資格手当などの具体的な支給額と算定方法
- 賞与の支給実績と支給基準(勤務年数や評価基準)
- 有給取得状況や育児・介護休業の実績など働き続けやすさに関わる制度
事業所側は、地域での採用競争を踏まえ、賃金以外の労働環境改善(勤務シフトの柔軟化、研修の充実、キャリアパスの明示)を合わせて打ち出すことが人材確保につながるだろう。
データの出所と制約
本稿が参照したデータはジョブメドレーに掲載された求人(正職員:2,074件/パート・アルバイト:2,633件、計4,707件)と、同サービスに登録するユーザーのプロフィール情報に基づく。求人票に表示された上限・下限・中間の数値を平均化しているため、個別求人の実支給額とは差が出る可能性がある。また、登録ユーザーの年収データは自己申告によるものであり、サンプルの偏りが入りうる点を留意してほしい。
神奈川県内の介護労働市場は、人口の高齢化に伴う需要増に加え、働き手確保のための賃金・処遇改善が今後も重要な課題となる。求職者は自身の条件と地域差を照らし合わせ、事業所は賃金水準だけでなく職場環境の明示で応募者にとっての魅力を高める必要がある。
(取材・文/プレスリリースジェーピー 神奈川県担当記者 山口 恵)