暑さと停電を想定した避難所運営の現状
猛暑が続く中、静岡県内で大規模災害が発生した場合の避難所内の高温対策が注目されています。自治体ごとに導入機器や運用方法に差があり、電力が途絶えても避難者の健康を守るための工夫が進められています。
静岡市は、停電時でも稼働できるタイプのガス式空調を体育館に導入する工事を進めています。対象となるのは長田西小学校を含む複数の小中学校の体育館で、体育館用には電気に依存しない機器を選定し、校舎側は電気式空調を設置する方針で、燃料依存を分散させることでリスク軽減を図っています。2026年10月までに現行工事を完了させ、市内全体育館への設置完了は2033年度をめどに進める計画です。
「体育館には停電時にも使えるガス式の空調を設置し、校舎は電気式とするなど燃料を分散させています」
牧之原市では、前年度の突風被害などを踏まえ、避難所開設時にエアコンが使えない事例があったことから、災害時の機材確保策を強化しています。市が結んだ民間業者との協定により、スポットクーラーや発電機を緊急貸与してもらい、炎天下で作業するボランティアが休憩できる冷却スペースを設置するなど、被災者と支援者双方の熱中症対策を講じました。例として、協定先からスポットクーラー10台と発電機5台が提供された実績があります。
浜松市は、市内の気温が観測点で40度近くを示した事例を踏まえ、指定避難所への冷却設備配備を進めています。市内182か所の指定避難所のうち約9割にスポットクーラー等を設置済みとし、停電時の運用に備えて可搬型の発電機を導入しました。導入した発電機は車輪付きで移動が容易なため、必要拠点へ迅速に供給できますが、連続稼働時間の制約から短期的な対応にとどまる点は課題として残ります。
住民に求められる事前の備え
自治体の取り組みが進む一方で、避難生活の暑さ対策は自治体だけに頼るのでは不十分です。次の項目は家庭・地域で実行できる実用的な備えです。
- 避難時に持ち出せる冷却グッズ(冷感タオル、携帯扇風機、保冷剤など)を用意する。
- 家庭用の非常用電源(蓄電池や携帯用バッテリー)や燃料の備蓄を検討する。
- 高齢者や持病のある家族の暑さ対策を日常から確認し、避難先での医療・薬の確保方法を整理する。
課題と今後の展望
各自治体の対策から見える共通の課題は、長期の停電に対応するための「継続的な電源確保」と、避難所ごとに異なる設備の運用マニュアル整備です。可搬式発電機は短期戦力として有効ですが、燃料供給が途絶えた場合の継続運用が難しい点、導入機器の点検・運用訓練を定期的に実施する必要がある点も指摘されています。
また、避難所に到着する前の移動中や避難開始直後の段階で熱中症リスクが高まることから、避難行動計画(いつ避難するか、どこに避難するか)に「暑さ対策」を組み込むことが重要です。地域単位での資機材の相互支援や、商業施設・公共施設との連携で冷却拠点をネットワーク化する試みも今後の参考になります。
住民への具体的な案内
災害時に避難所での暑さを軽減するため、以下の点を確認してください。
| 自治体 | 対策の例 | 主な留意点 |
|---|---|---|
| 静岡市 | 体育館に停電対応のガス式空調を導入(複数校) | 導入完了は段階的。学校によって電源方式が異なる |
| 牧之原市 | 協定業者からスポットクーラー・発電機を貸与 | 民間支援の継続性と配置計画の明確化が必要 |
| 浜松市 | スポットクーラー配備と可搬型発電機の導入 | 発電機の稼働時間制約への対応が課題 |
各イベントや避難所の運営は、天候や災害状況により急遽変更される場合があります。外出・避難の際は自治体の公式発表や避難情報を確認してください。
今回の状況は、暑さ対策が防災対策の一部であることを改めて示しています。自治体による設備整備と、家庭・地域での備えの両輪がそろうことが、真夏の災害時に命を守る要になります。