結果の概要と県内の参加規模
文部科学省が公表した2026年度の全国・学力・学習状況調査(いわゆる全国学力テスト)の結果で、茨城県公立学校の一部科目が全国平均を下回ったことが明らかになった。小学校6年と中学校3年を対象に行われ、県内では小学校が441校、中学校が224校で実施された。参加者数は小6が国語で2万913人、算数で2万921人、中3は国語で2万103人、数学で2万123人、英語で2万255人だった。
主要な得点状況
県全体の平均正答率は以下の通りで、算数と中3英語(IRTスコア)の項目に注目が集まる結果となった。
| 学年・科目 | 茨城県 | 全国平均 |
|---|---|---|
| 小6 国語 | 61% | 60.9% |
| 小6 算数 | 55% | 56.4% |
| 中3 国語 | 65% | 63.9% |
| 中3 数学 | 57% | 57.0% |
| 中3 英語(IRTスコア) | 494 | 499 |
科目別の詳細と県教委の分析
分野別では、県が全国を上回った指標もある。中学3年の国語における「話す・聞く」の領域は66.6%で、全国の63.9%を上回ったほか、数学の「関数」分野も55.9%と全国平均を上回った。一方で、数学の「図形」は県で44.5%にとどまり、全国の48.7%を下回った。小6国語の表現に関する設問でも県は全国を下回った。
茨城県教育委員会の義務教育課は、今回の結果を踏まえ、科目ごとに次のような課題を挙げている。
- 算数:表やグラフを読み取る力が十分でない
- 数学:図形の性質を論理的に説明する力が不足している
- 英語:正確に英文を書く力に課題がある(中3)
- 国語:文章の内容を整理し自分の考えを示す力に改善の余地がある
「児童生徒の基本的な知識の定着が十分でない」として、今後さらに詳細な分析を進めた上で指導方針の改善を検討する。
地域の学校現場と保護者への影響
今回の結果は、学校現場の指導内容や家庭学習のあり方に直接関わる。算数で継続して全国平均を下回っていることは、基礎技能や数的思考の習得に欠けがある児童が相対的に多い可能性を示唆する。特に表やグラフの読み取り力の不足は、実生活でのデータ活用や中学以降の数学・理科の学習に影響を及ぼす。
中3の英語でIRTスコアが全国より低い点は、大学入試改革や高校で求められる英語運用能力の観点からも注視される。いまや英語は単なる知識問題だけでなく、書く・話す・聞く・読むの四技能を総合的に育成することが求められるため、県教委や市町村教委が具体的な指導改善策を急ぐ必要がある。
今後の対応と住民向けの実用情報
県教委は結果を踏まえて詳細なデータ分析を進め、学校現場への指導助言や研修、教材の見直しなどを通じた改善策を検討する方針だ。また、地域の学習支援や家庭での取り組みを後押しするため、次のような対応が考えられる。
- 教員向け研修の強化(図形の指導法、グラフ読解の授業設計など)
- 授業外での学び直し支援(放課後学習や土曜学習、家庭学習用のガイドや教材配布)
- 英語のライティング支援とICT活用(オンライン添削やCBT形式を踏まえた練習)
保護者への具体的な助言としては、日常生活でのグラフや表を使った会話、図形に関する図解・作図の練習、英語での短い文章を書く習慣づけなど基本を繰り返す取り組みが有効だ。県教委や各市町村教育委員会は、今後の分析結果と併せて家庭向けの学習支援情報を順次公表する見込みだ。
背景と継続的課題
算数の全国平均未達は、現行のテスト形式が始まった2019年度以降(2020年度は新型コロナのため中止)で継続的に見られる傾向である。これは一時的なばらつきではなく、基礎的な学力の習熟に関わる構造的な課題を示唆している。茨城県内では地域差や学校規模差、学習支援体制の差も影響する可能性があるため、県教委は県内の市町村や学校ごとのデータを精査し、重点的に支援が必要な地域や学年、単元を特定する方針だ。
今回の調査は、教育施策の有効性を検証するための重要な指標になる。県民にとっては、教育環境の改善に向けた予算配分や人材配置、地域の学習支援の拡充がどのように行われるかが関心事となる。県教委がどのような方策を示すか、また市町村教委や各校が教科指導の改善をどのように実践するかが、今後の学力向上の鍵となる。
(茨城県担当記者 中村 智子)